所有者登録
「優、精霊剣どんな感じよ?」
「色々試してるんだけど全然ダメ。今のとこ普通の剣として使ってる。こういうユニーク武器みたいなのってあんまり見つかってないんだっけ?」
「数は少ないな。属性が付与された武器なら普通に売ってたりするけど」
「やっぱアレ特殊イベントだったのかな」
「だろうな。他のユニーク武器の入手も似たような感じらしいし」
「うーん、掲示板で意見貰いたいけど変に絡まれたりしたらやだな」
「別に問題ないだろ。そもそも優は存在自体がユニークみたいなもんだし。それにお前のとこ誰も行けないんだから気にすることないんじゃね」
「それもそうだな。オススメのとこある?」
「聞くなら武器スレにしとけ。あそこは武器以外のことは興味ないし余計な詮索はされないぞ。それにユニーク武器ってあんまり情報ないから多分喜ばれるぞ」
「じゃあそこで聞いてみるわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
拠点の様子を静かに見守るアリス。
画面には座禅するタカナシとそれぞれ鍋に入り丸まる白玉とあんこ。
武器スレにてアドバイスを貰ったタカナシは色々試していた。
今行っているのは武器との対話。
タカナシが精霊剣の力を使えないのは武器の所有者として正式に認められていないのではないかという話があがった。
武器の中には所有者登録が必要なものがあり、所有者以外では真の力を発揮できないものが存在する。
所有者になるにはどうすればいいか。
その方法の一つが武器との対話だ。
簡単に言えば武器と自身の魔力回線を繋ぐこと。
今のタカナシでもただ魔力を込めるだけなら可能だがそれだけで何も起こらない。
底の開いたコップに水を注ぎ込んでいる状態で精霊剣に魔力が行き渡っている訳ではないらしい。
魔力回線の繋ぎ方は様々で武器によって異なる。
今タカナシが行っている座禅はその中の一つ。精霊剣を膝に置き意識を剣に集中させる。
剣と自分が一つになるイメージを保ち続けることで、武器と自身の魔力回線が繋がるようになるとのことだ。
あんこがちょっかいをかけてくるので、鍋を置きそこで大人しくしてもらった。
白玉にはそんな必要はないのだが仲間外れは良くないので同じく鍋を用意した。
静寂が続く。
かれこれ2時間以上は経った時、精霊剣に変化が起こる。
精霊剣が浮かび光り輝く。
光が収まりそこに現れたのは大きな赤茶の猫だった。