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感情FEVER 学園編  作者: きんたろ
38/49

38.対決

 澄みきった神秘的な大広間は、『冷たい空間』と化していた……。


「歴史としてはここまでだ。今もその『ミラ』という人物は生きているんだからな。」


しばしの沈黙があった。心たち四人はその歴史を聞いて息を呑んだ。そして、地球と同じように、この惑星にもまた、憎まれる皇帝やら血塗られた歴史が存在することに、言いようのない感慨を覚えていた。特にレナは、自分の中で湧き上がる『何か』に、運命めいたものを感じていた。


 レナの表情を見た少年は、その前へ行き、『肩を叩きながら』言った。


「大丈夫だから……大丈夫。わかってるよ」


 それは、三人にはレナを安心させるためのように見えた。そして次に口火をきったのは茜だった。


「うん?!っていうことは……君、1年以内にその……アグダラに居たことがあるって言いたいの?」


 少年は笑顔で言った。


「あぁ。なんせ俺はあっちの住人だからな!」

「なんだって……?よく聞こえなかったな……君、今なんていったの?」

「俺は……元アグダラの住人だ。ちょっと言いにくいが、アグダラから、逃げてきた……」

「え……?」


 その時、ギシ…ギシ…と先程の金色に輝くブラモンの姿をしたものが、いつの間にか心たちの後ろからやってきて、少年の横に立った。少年と金色のブラモンは同じくらいの身長だ。心たちより断然低い。少年は、見た目だけなら四、五歳ほどにしか見えないのだから。金色のブラモンが言った。


 「へい!お前たちぃ!さっきから黙って聞いてれば、お前ら図が高いぜぃ!このお方はなぁ!今はガキに見えるが!お前たちよりか、全っぜん年上だから!おっさんだから!初老だから!」


 四人はびっくりして口をあけた。その男は、おっさんという言葉をきいて、ピクリと横目で金色ブラモンを見ながら言った。


「おっさんで悪かったなぁ!」

「あえへへへへ……でもホントじゃん!」

「ま、いいけどさっ!」

「あひゃひゃひゃひゃ!!」


 二人のとても仲良さそうなおしゃべりを呆然と見る四人。そこで心は我慢していた口を開いた。


「おい!なんでお前!そいつと仲良くしてるんだ!そいつは!!」


 心はその金色に光るブラモンを、幼少の頃、目の前で幼馴染の少年ナオトを『穴』に引きずりこんだ存在と、無意識に重ねていた。その感情を、心自身も抑えきれなかった。そんな心に『男』が向かって言った。


「話はまだ続くが、おまえ、こいつと戦ってみたいか?腕に自信があるようだし。」

「あたりまえだ!!おい、お前!こい!!」

「え、ボクと?ねぇスイミー、こいつやっちゃって、いいの?」

「……うーん、なんかそれの方が『話が早く進む』かもなぁ。じゃ、いいよ。ふたり、やっちゃって……!」

「おいおい……」

「え〜……」

「心、大丈夫かしら……」


 こうして、金色のブラモンと青空心がその場で勝負することになった。金色のブラモンに『スイミー』と呼ばれた男が、祭壇側、レナ、ケイト、茜が手前側に立ち、その勝負を見守る。


「おい、心とかいうお前!言っとくが全力で行ったほうが良いぞ?」


 スイミーが言った。心は怒っている顔で(全力?!言われなくったって、そうする!私はこのために、強くなろうとしてきたんだ!)そう気持ちを引き締めると『戦闘』の姿勢を見せた。


 それを見てレナは思った。


(あの構えは!あいつ!私と始めて決闘をした時の構えに似ている……でも……それとも何か違う……)


--

 戦闘の姿勢。心はレナとともに武道を学んでいて、その時に習う格闘技の姿勢を大事に思っていた。これはなんにでも言える事だが、何かをする時の『姿勢』というものはとても大事で、その道を極めるための最初の第一歩、入門だ。


 (目の前にいるこいつはあの、ナオトくんを連れ去った『ブラモン』の仲間だろう!こいつを、倒したい!倒したい!)


 そう思った心の姿勢は、レナからしてみれば、習った格闘技の構えというよりも、それらをある意味超越した戦闘の姿勢に見えたのだ。

--


「では、始めっ!!」


 スイミーの言葉で2人の戦いは始まった。


「おりゃー!!」


 先手をうったというか、待ってましたとばかりに攻撃を開始したのは心だった。すぐに突っ走り、床を蹴った勢いで第一ターゲットに決めていた金色のブラモンのそのコメカミに向かってハイキックを放つ!しかし、金色のブラモンはそれを読んでいたかのように、さっとしゃがみこんだ。そして同時に、心の腹部へとパンチを叩き込む。


「くっ!」

(は…速い……!!)


心は前のめりになったまま、そのまま動けなくなっていた。


(ちく……ちくしょう……)


「ぇ……」

「ぁ……」

 茜とケイトには、ブラモンのパンチは見えなかった。

「あいつ、3発も……当てた……」


 レナですら『その内の』3発しかみえなかった……。


「ちがうよーーんだ!!答えは5発だ!!」

金色のブラモンはこれ見よがしに爪の長い手を広げる。

「5発だよん♡」

「なん、だって…」

「はい!終了〜〜っ!!心が戦闘態勢を解いたので、戦う意志がないものとみなし、もうここまでとするっ!!」


 青空心の、生涯2度目の敗北だった。






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