36.洞窟
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漆黒の闇に包まれた洞窟の入り口から一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。外の世界の喧騒が遠ざかり、聞こえるのは自分達の足音と、洞窟の中で反響する水滴の音ばかり。心たち四人は、黙ってその少年の後ろをついていく…。
内部の岩壁は、土の茶色から次第に美しく青みがかった色へとグラデーションをなし、その空間も美しいブルーの雰囲気を漂わせる。それは、最新鋭を誇るBRF施設の青い空間と通ずるものがあった。
さらに奥へと進んでいくと、その様相はさらに美しさを強調し、滲み出る水が長い年月をかけて作り上げた、壮大な『芸術作品』ともいえる光景が目の前に現れる。天井からは、何千、何万年もの時をかけて成長したであろう、巨大なつらら石が氷柱のように垂れ下がり、その先端からは『きらめく水滴』がぽたりぽたりと落ちていた。その音は、まるで時の流れを告げる時計のようだ。
足元には、落ちた水滴が積み重なってできた石筍が、いくつもの『オブジェ』のようにそびえ立つ。それらは、時には奇妙な生き物の姿に見え、時には、神殿の柱のように厳かな佇まいで見るものを魅了する。
『少年』が洞窟の内壁に埋め込まれている、大きなボタンらしきものにそっと手を当てると、石灰岩に含まれる微量の鉱物が反射し、琥珀色や乳白色、あるいは透明な水晶のような輝きを放ち、洞窟全体が宝石箱のようにきらめく…。
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それは、とても美しい鍾乳洞だった。




