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97.東北征伐

 ブクマして更新を待っていた方々、本当にすみません……。半年近く更新サボってました。_(:3」∠)_


 言い訳になりますが、第三章のプロットがなかなか出来なかったんですよ。しかも設定を練る前に書き始めたら矛盾だらけになってしまい、二万文字程度を没にしました。


 なのでプロットが出来るまでは書き始められず、加えてポケモンsvやワールドボックスにハマってしまったため執筆スピードが牛の歩みでした。


 ただ私自身続きを書きたいと思っていますので本作はまだ続きます!


 というわけで今日から第三章連載開始です!


 ※毎日更新ではなく月曜日・水曜日・金曜日の週三回更新に変更することにしました。なので次回の更新は明日ではなく明後日になります。

 蝦夷汗国の部族長会議に出席してから二日後のこと。やっと俺達はジパング王国の王都に帰ってくることが出来た。


 そして雫とともにヴェルサイユ宮殿に入ると、どこからともなくミラージュが姿を現す。


「おかえりなさいっす」


「おう、ただいま」


 江戸城を制圧した日の一週間後くらいに部族長会議に出席したが、その一週間の間はずっと大日本皇国の解体だったりを進めていたので王都に帰ってくる暇がなかった。


 なので出陣してから王都に帰ってきたのはこれが最初だ。


「それで、ドワーフのことなんすけど……姿を消したっす」


 やっぱりか。


「……この戦いでカヤが死んだから、カヤに従属していたドワーフも一斉に死んだんだと思う」


「!?」


「フラガラッハも死んだ」


「!!??」


 意外にもミラージュはすごく驚いているな。


 フラガラッハやカヤと親しかったわけじゃないから死んだことに悲しんでいるわけではなく、あんなに強いフラガラッハとカヤが死んだことに驚いているっぽいが。


 さて、顛末(てんまつ)をミラージュに説明してやるか。ついでに、祖父ちゃんが戦争に参加したことを黙っていた件についてミラージュを叱っておこう。




 場所は移り、俺はマヨヒガの屋敷の居間にミラージュだけでなく南原さんと凛津も呼び、彼女らに戦争で起こったことを一から全て話した。


「ほえぇ~、そんなことが起きたんすか」


「しかもその結果、私もミラージュと同じくモンスターになった」


「私としては自称天皇の正体より、雫さんがモンスターになったことが驚きです」


「オレは一回の戦争で一国を潰して、もう一国を属国にしたことに驚いてるんだけど……」


 上からミラージュ、雫、南原さん、凛津だ。


 ああ……凛津の言葉を聞いていると心が浄化されるぅ……。さすがオレっ娘!


「痛っ! 痛い痛い痛い!! 雫、耳を引っ張るな!」


「俊也が吉川に鼻の下を伸ばすのが悪い」


「可愛いんだから仕方ないやろがいっ! オレっ娘は正義! 悪には屈せぬ!」


「鼻の下を伸ばすのは勝手だが浮気だけはするなよ」


 戦争が切っ掛けで雫と結婚することになったことは伝えてあるので、この場にいる皆は微笑ましそうに俺と雫のやり取りを見ていたそうな。




◇ ◆ ◇




 それから一ヶ月後。全ての戦後処理が終わり、蝦夷汗国の主権の大部分はジパング王国へと移譲された。早い話、蝦夷汗国はジパング王国の属国(正式には保護国)になったということだ。


 大日本皇国の天皇位は暫定的に神楽宮義仁が継ぎ、その日のうちに義仁天皇により皇国解散勅書が発布。大日本皇国は解体され、国土はジパング王国に併合されることとなった。


 そして、数人をジパング王国の貴族として迎え入れた。祖父ちゃん、親父、お袋、神楽宮、宇都宮の五人だ。


 この五人はいずれも強力な異能を有していたため、男爵位を与えた。帝爵から男爵にまで降爵された神楽宮が不憫でならない……(爆笑)。


 そして江戸城に囚われていた総理大臣の仁藤さんと陸上自衛隊員で陸将の榊原司さんという方の二人は、貴族ではなく準貴族としてジパング王国に迎え入れている。


 二人は覚醒者ではあるが、そこまで強力な異能は持っていない。けれど仁藤さんは政治家なので政治に精通していて、陸上自衛隊員である榊原さんは兵学に精通している。


 榊原さんとは部族長会議に出席したあとで会ったが、話した感じ彼は軍人然とした武芸一辺倒の者ではなくなかなか利発そうだったな。


 ジパング王国の政治に関わっている者達は俺を含めて元は一般市民だ。大学では法学部だった雫は例外だが、俺達は政治や兵学についてちゃんと学校で学んだわけじゃない。


 でも素人だけで国を運営するのにも限界があるので、仁藤さんに準男爵位を与えて宰相顧問に任命して南原さんの補佐をしてもらい、榊原さんには士爵位を与えて将軍に任命した。


 あ、そうそう。榊原さんに与えた士爵位だが、これは()士爵ではなく()士爵だ。


 騎士ってのはヨーロッパのものであるわけだから、騎士爵というのは東アジアの国家であるジパング王国には適さない。そのため、騎士爵という名を武士爵に改めたことを記しておく。


 おっと、話が逸れたな。


 仁藤さんは総理大臣だったが遺憾砲をぶっ放すだけにしか能がないわけではなく、ちゃんとした政治家だ。なので彼は政治の相談役みたいな立ち位置だな。


 榊原さんは防衛大学校で兵学を学んでいるため俺よりも上手に軍を動かせるだろうから、将軍に任命するついでに何千人かの兵を任せた。


 彼は第一師団長の陸将、つまりは中将にまで出世した人物なんだから、兵を任せるには申し分ない能力を有しているだろうし。


 なお、榊原さんの上官である陸上幕僚副長や東部方面総監、陸上総隊司令官、陸上幕僚長、統合幕僚長などは行方知れずである。


 なので榊原さんら師団長が陸上自衛隊を統率しながら自称革命軍と戦っていたが、命令系統がはっきりしていなかったため上手く統率がとることが出来なかった。これが日本国政府軍が負けた一因だ。


 ちなみに、親父とお袋には藤堂のことは一つも話してないよ。祖父ちゃんが、二人には藤堂のことを話すなと俺に言ってきたからだ。


 親父とお袋──特にお袋──は芽依のことを非常に可愛がっていたため、二人は芽依が殺されたから一年ほど(うつ)に苦しんでいた。


 藤堂のことを二人に話したら鬱が再発する可能性が高いため、祖父ちゃんは二人には話すなと言ってきたんだ。


 俺も二人が鬱になったのは知っていたので、藤堂のことは黙っておくことにした。神楽宮と宇都宮にも、親父とお袋には藤堂のことを話さないように頼んである。


「死ねぇ!」


「人が考え事してる時に襲い掛かってくるんじゃねぇよ!!」


 と、刀を振り回しながら俺の元に向かってくる男の首を刎ねながら言った。


 ジパング王国の貴族増えたなぁと考えていたら急に襲い掛かってくるとは、無礼な奴め。


 ここは青森県津軽平野某地。正確な場所は知らんから某地と言うほかなかった。津軽平野のどこかということだけは把握している。


 さて。なぜ俺が青森県にいるのか。その理由は一つしかないじゃないか。つまり……本州の統一である。


 帯広部族と大日本皇国の連合軍との戦争──(ちまた)では本州戦争と呼ばれているらしい──で勝利したことにより、本州におけるジパング王国の覇権が確定した。


 だが、覇権が確定したからといって統一がなされたわけではない。東北地方の諸勢力(主に避難所)がジパング王国の支配に対抗していた。


 なので俺直々にジパング王国陸軍を率いて東北征伐に来たのだ。


 そしてジパング王国の軍隊が進軍してきていることを知った東北の諸勢力は青森県にまで後退し、今に至る。


 青森県に逃げ込んだ奴らを倒し終えたら、本州がジパング王国の元で統一されることになるわけだ。


 関東以西はジパング王国の影響下にあったので敵対勢力はいなかったが、関東以東は蝦夷汗国や大日本皇国の影響下にあったためジパング王国の敵対勢力が多い。


 そういった理由があり、関東以西は簡単に国土に組み込めたが関東以東は少々手こずっている。


 これも藤堂に原因がある。日本国政府と自称革命軍が東京都を中心に関東で争っていたため、関東以東にジパング王国の影響が及ばなかったからだ。


 藤堂め……あいつってマジで俺に迷惑を掛けてばっかだな。あの世で反省しろ。


「俊也。全員倒してきた」


 俺に襲い掛かってくる奴らの首を流れ作業で斬っていると、馬に乗ったオユンが駆け寄ってくる。無論、駆けているのは馬だが。


「よくやったオユン」


 遊牧民は男女問わず馬に乗れるため、ゾリグの娘であるオユンももちろん騎兵だ。


 というか北海道に上陸したモンゴル人達は全員が馬に乗って逃げてきたため、蝦夷汗国のモンゴル人は全て騎兵と言える。


 オユンはカン部族から徴発された騎兵の一人だ。というよりオユンが望んで俺達に付いてきた。


 いや……オユンが望んで俺達に付いてきたのは、カン部族や蝦夷汗国の安全のためなんだと思う。つまり自ら人質になったということだ。


 彼女は人質として自ら進んでジパング王国に来ることで、蝦夷汗国や自分の父親であるゾリグの安全を確保しようとしたんじゃないかと思っている。


 オユンが嫌々こちらに来るつもりなら断っていたが嫌がる様子はなかったし、ゾリグいわくオユンは馬の扱いが誰よりも巧みなようなので、俺も快く彼女をジパング王国に連れ帰ってきたのだ。


 事実、オユンは馬を非常に乗りこなしていた。一人娘という理由でゾリグの目にはフィルターがかかって見えていた可能性があったが、そんなことはなくオユンは優秀だった。


 それでも一応試運転ということで、東北征伐にオユンを連れてきたというわけだ。


 そしたら敵のほとんどをオユンが討ち取るという戦果を上げたもんだから驚いた。想像以上の人材が手に入って俺は大満足だよ。


 第一騎兵連隊の連隊長は帯広部族の元部族長であるアルトゥに任せてるし、第二騎兵連隊の連隊長をオユンに任せるのも良いかもね。


「敵が全然強くなかったから勝って当然」


 オユンはそう言って手綱を引き、華麗に馬を停止させた。


 すごいな。馬に乗り慣れているから彼女にとっては当たり前のことなのだろうが、こんなに美しく馬を止めさせることが出来るとは。


 俺には無理な芸当だ。しかもオユンは俺よりも1歳年下の25歳なんだぜ?


 25歳でここまで馬を乗りこなすとはさすが遊牧民だな。


「よし。じゃあ東北征伐も終わったし、次はドワーフに都市を造らせないとな」


 俺が言うドワーフとは、ノーミーデスであるカヤが従えていたスクナ達のことではない。新たに仲間にしたノームのスキルによって従属化したドワーフのことだ。


 ドワーフがいないと都市の建設が出来ないため、東北征伐に来る前にノームのカードを頑張ってドロップさせたんだ。そりゃあもう大変だった。


「お前らドワーフには東北で都市建設を命じる」


 ノームが従えたドワーフらに東北で都市を造っておくように頼み、召喚したグリフィスの背中に飛び乗る。


「俺は王都に帰ってるからあとはよろしく! 頑張ってくれたまえ、ドワーフ諸君よっ!」


 俺はドワーフに仕事を丸投げした。


 こうして東北征伐は終わり、ジパング王国によって本州が統一された。


 蝦夷汗国は属国なわけだし、これでジパング王国は北海道全域と本州全域を支配下に置いたことになるってわけだ。我ながら大きな国になったもんだな。



 章タイトル見たらわかるかとは思いますが、物語の都合上フラガラッハ達の復活は第三章では(えが)きません。フラガラッハ達が復活するのは第四章になる予定です。


 重ね重ね、申し訳ありません。

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