※なお作者は猫草を食べたことがありません
コット国を滅ぼした俺が九柱国に戻ると、タカナシジャー達がまだいた。(説明口調)
「あれ~ヴィルドラ様?戻ってくるの早くないですか?」
「もしかして淫夢MADが惜しくなったんすか?」
「いや、もう大体滅ぼしてきたから、後始末頼もうと思って」
俺の一言に全員が黙りこくる。……もしかして、俺なんかやっちゃいました?
各々顔を見合わせた後、俺を見て取って駆けつけてきたケモが口を開いた。他よりちょっと服が豪華だから、多分偉い人なんだと思う。
「……至急確認に向かわせますにゃ。何か必要なものなどは……」
「あ、全部燃やしちゃったから消火用のなんか持ってくといいかも、斧とか」
「斧……ですか?」
「あれ、知らない?火は燃えるものがないと広がらないから、先に木とか家とかを退けておけばそれ以上被害が増えないってやつ」
「にゃんと……!初めて聞きました!」
てっきり義務教育だと思っていたが、この世界ではどうやら違うらしい。そういや、魔法の火は魔力だけで燃えるしなあ。
「じゃあ後は頼んだから、よろしく」
「はい!後片付けが終わるまでは我が国で休んでいってくださいにゃ。移動して間もない故にあまり豪華とは言えませんが……」
「んー、大丈夫大丈夫。ああ、この姿のままだと困るよな?……よっと」
女衛兵姿に戻ると、またケモ達があぜんとした。……そういやこいつら、ヴィルクザームドラゴンを信仰してたんだっけ。
「ヴィルドラ様、そのお姿は……?」
「あー、ほら、ずっとドラゴンの姿だとすぐ物壊しちゃうからさ。基本的にはこの姿で活動してるんだよね」
「にゃるほど……。さすがヴィルドラ様!【変化】なんて伝説級のスキルを習得しているだけでなく、日常的に使いこなすなんて……!」
いや、【変化】っつーか、【吸収】なんだけど。まあみすみす手の内を晒す必要もないし、それでいいか。
「じゃ、案内してよ」
「はい!」
案内されたのは、お世辞にも豪華とは言えないが、それなりに広い木造の家だった。
「ここで待っててくださいにゃ。すぐにお飲み物をお持ちしますにゃ」
通された部屋には瀟洒なソファーやテーブルがあり、厚みのある絨毯が敷かれていて、外装と違ってかなり豪華な作りだった。家具や絨毯を持ち出す時間は残されていたのだろう。その証拠に、壁紙はけして華美ではなかった。
ソファーに腰かけると、柔らかい革が小ぶりな尻を受け止め、ふわりと包み込んだ。
「いやどんだけ内装に金かけてるんだこの国!?」
思わずぼふんとソファーを叩く。柔らかい。ていうか、革張りて。革張りのソファーて。よく見たらクッションもベルベットだし。もうこれ売り払って資金調達すれば?領土買おうよ。
「お待たせしましたにゃ!お茶とクッキーですにゃ」
さては余裕あるな?この国。
「ありがと……何このお茶!?美味っ!?」
で、あった。香ばしさの中に微かな甘みがあり、後味もすっきりしている。前世で例えるなら、そば茶に白米の甘みを足して、後味をミントにした感じだ。こういうのって転生者側が異世界で歴史チートするんじゃないの?なんで異世界側に美味しさでぶん殴られてるの?
「猫草茶という、この国の特産品ですにゃ。とは言っても、森の開発で畑も減ってしまったのですが……」
なんてこった……。これがあの猫草……?俺は一度食べたことがあるが、こんなに美味くなかったぞ……。
「増産、しよう!」
「そうしたいのは山々にゃのですが……」
こいつマジで勿体ぶるな。
「コット国は俺が滅ぼしたから、土地は腐るほどあるぞ。燃えた灰は肥料になるし。だから増産、しよう!」
「わ、わかりましたにゃ……」
わかってもらえたらしい。やったぜ。
「よし、今行こう、すぐ行こう」
「そんなにですか……!?あ、案内しますにゃ……」
こうして俺は後始末兼畑作りに行くことになった。画面の前の君も増産、しよう!
ついに読者が作者になったよ
本編を書いたのは元読者の作者だけど
このあとがきを書いてるのは元凶の人だよ
リョナラーの人とかって呼んであげてね
多分この呼び名だと他のも反応するけど




