帰り道〜家 ゆきサイド
『はぁ…』
全ての授業が終わり、帰宅の途についた。
『やっぱり、一緒にお昼食べるって言えばよかったかなぁ』
歩きながら色々な気持ちがぐるぐるしている。
気がつけば家の前まで来ていた。
『はぁ…』
家に入り、2階へ上がる。ブラウスとスカートを脱いで私服に着替える。
『よし、気持ちを切り替えよう』
バックから宿題を取り出し取り組む。
『今度、誘われたらね』
気がつけば、宿題と予習で2時間くらい経っていた。
下に降りて、電気をつける。ママとパパは仕事でもうすぐ帰ってくるだろう。
留守電が入っていたので、確認する。
「文恵です。ゆきさん、いないのですか?近々、伺います。透さんと由美さんにも伝えてください」
威圧感のある声、パパの母親でありゆきの祖母、神崎文恵。聞きたくない声だ。一気に気持ちが悪くなる。
神崎家は有名な資産家、そして音楽一家と言われているが、パパは普通のサラリーマンでママはホームセンターでパートをしている普通の家庭だ。
神崎家、祖父、祖母、パパの兄妹が資産家で音楽家なだけだ。
色々考えるだけ無駄だと思い、気持ちを切り替える。
『さ、夕飯を作ろう』
この日の夜は、あまり眠れなかった。