昼の話 ゆきサイド
昼になり、それぞれ皆動き出した。グループになる者、外へ出る者、一人で食べる者と様々だ。
『お昼かぁ』
隣の新山さんは、お昼になった瞬間に教室から居なくなった。
「トシは大体、昼は一人なんだよ。」
菊池さんが話しかけてきた。
(一緒に食べないのですか?)
「ん〜。時々はあるけどね。」
『でも、私も人の事言えないから』
「じゃ、俺も」
そう言って菊池さんは教室から出て行ってしまった。
『私もお昼食べちゃおう』
ゆきもお弁当を持って屋上へ出る。晴れた日は大体ここに来る。大抵、ここは誰もいないので落ち着いて食べられる。雨の日、夏の暑い日は図書室の最奥で食べることにしている。
コンクリのブロックに座り、お弁当を出して蓋を開ける。
『いただきます。お母さんありがとう』
風が気持ちよく、心が落ち着く。
『今年はうまくやりたい…新山さんたちとお友達になれるかな。でも…一人の方が…はぁ』
教室に戻り自分の席に着き、一休みする。後20分くらいで午後の授業が始まる。
『新山さんは…あ、戻ってきた。』
新山さんは、そのまま机に突っ伏してしまった。
『大丈夫かな…つ、突っついてみようかな。いいよね。その前に…』
ノートに、お疲れですか?保健室?と書く。
『よし』
つんつん…そしてノートを見せる。
「あ、いや」
新山さんは、苦笑いだった。
「トシ、お疲れだね」
菊池さんが新山さんの背中をポンポン叩き、後ろの丸山さんの席に座った。
「トシは人間嫌いだからね〜。」
『人間嫌い…私みたい』
「語弊を招くから。新しいクラスで疲れただけだから。慣れたら平気平気。」
同じ気持ちだと伝えたくて急いで書く。
(そうですよね。私も同じです。)
「だろう?」
「おっす、探してたんだ。新山」
『びっくりした…』
「丸山くん」
「大樹でいいぜ。ほら後でって言ってたからよ」
「あ、あー。言ったかも」
『新山さん、適当に流してた気がする』
「トシ、適当に流したな」
(言ってましたよ)
「あーすまん」
「明日、一緒にメシ食おうぜ。よかったら菊池もどうだ!?神崎も」
「トシ、たまにはいいじゃないか。神崎さんもいい?」
『ど、どうしよう…』
ゆきは嬉しい反面、不安もあり、色々考えしまう。友達だから誘ってくれたのか、だったら一緒に食べる方がいいのか、でもまた失敗したらどうしようと思うと勇気が出なかった。
(明日はちょっと)
「あら、残念。トシはいいよな?」
「わかったよ。」
「よろしくな!」