昼の話
昼になり、それぞれ皆動き出した。グループになる者、外へ出る者、一人で食べる者と様々だ。
俊明は、さすがに疲れたので、誰もいないいつもの場所へ向かう。
「ふぅ。」
俊明は、屋上へ出てハシゴを登り、屋上へ出入りする所の上で一息着いた。誰か来ても気づかれないし、雨の日以外なら平和に過ごせる。
朝、コンビニで買った野菜サラダを出して、ポケットからスマホを取り出し、イヤホンをつけ、音楽を流す。
聴くのは、ウーチューブで人気になったQと呼ばれるアーティストだ。歌唱力もそうだが、Qが書いた歌詞も素晴らしいと評判だ。ただ、女性の声である以外、素顔も年齢も不明であり、そのミステリアスさも人気の要因だと言われている。
教室に戻り自分の席に着き、突っ伏し寝たふりをする。後15分くらいで午後の授業が始まる。授業といっても、オリエンテーションや、役割決め、委員会決めなど勉強らしい勉強はない。とはいえ、初日からフルなのはやはり疲れる。
つんつんと肩を突かれた。俊明が頭を上げて突っつき主を見ると神崎さんがノートを見せてきた。
(お疲れですか?保健室?)
「あ、いや」
「トシ、お疲れだね」
康太が俊明の背中をポンポン叩き、後ろの丸山の席に座った。
「トシは人間嫌いだからね〜。」
「語弊を招くから。新しいクラスで疲れただけだから。慣れたら平気平気。」
(そうですよね。私も同じです。)
「だろう?」
俊明は神崎さんに向けてうんうんと頷いた。
「おっす、探してたんだ。新山」
元気だなぁと思いながら振り返る。
「丸山くん」
「大樹でいいぜ。ほら後でって言ってたからよ」
「あ、あー。言ったかも」
「トシ、適当に流したな」
(言ってましたよ)
二人にそう言われては逃げられないと俊明は諦めた。
「あーすまん」
「明日、一緒にメシ食おうぜ。よかったら菊池もどうだ!?神崎も」
「トシ、たまにはいいじゃないか。神崎さんもいい?」
神崎さんはノートに書いて康太に見せた。
(明日はちょっと)
「あら、残念。トシはいいよな?」
「わかったよ。」
「よろしくな!」
ニカっ!