表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ざまぁをしたら、ざまぁ返しされる事がわかっているのでどうにかして回避したい!地下牢に行きたくない王子の話。シリーズ

ある侍従が婚約破棄をやらかした主人に対して思う事。

「ざまぁをしたら、ざまぁ返しされる事がわかっているのでどうにかして回避したい!地下牢に行きたくない王子の話」に出てくるガルフォード殿下の侍従の視点です。


続きが読みたいとご感想をいただいたので、軽く書いてみました。


ご希望と違ったらごめんなさい

ガルフォード殿下の婚約破棄の話は瞬く間に広まった。


国王夫妻は聡明でお優しくて、国民から好かれているのに、第一王子はなぜあんなに遊び呆けていて尊敬には値しない人物なのか不思議だった。


「ガルフォード殿下って単なるバカじゃなかったんだな」


「バカなフリしてポールセン男爵に油断させてたんだよ。俺たちまで騙されてたな」


「能ある鷹は爪を隠す、なんて異国の言葉にあるが、ありゃ爪を隠してたんだ」


「あのバカなフリは自分の取り巻きの将来性も探っていたみたいだな」


「元婚約者のローズ・グリーグ公爵令嬢の王妃様候補としての資質も見抜いて、婚約破棄を願い出てもらうためにあえて冷遇していたとか」


「やり方に問題はあるが、ポールセン一家の逮捕や余罪の追及についてはグリーグ公爵様はこの件でガルフォード殿下を認めて後見としての役割を果たすらしいぞ。なんせ複数の国にまたがる犯罪組織を摘発できたんだからな」


「あれだけ遊び呆けていたのに成績は10番くらい。特に語学に長けているらしい。そこも大臣達から評価されているらしいな」



街の食堂に入ると庶民達は好意的にガルフォード殿下の噂話をしている。


俺は知っている。

ガルフォード殿下は単なるバカだと。


あの婚約破棄事件の前までは、自分が将来国王になることを疑わずに、「明日はとうとうクララちゃんとホテルで。とうとう初夜だ。…ムフフ。」とか、よからぬことを考え、クララ嬢のためにスケスケの女性下着を準備していた事や。


外国語は『これください』だとか『俺を誰だと思っているんだ』とか『俺がこう言っているんだ』とかのパワーフレーズばかりを覚えている事や。


ローズ嬢の事は、灰色ブス鼠とあだ名をつけていた事を。



しかし、婚約破棄からガルフォード殿下は変わった。

おつきの侍従である俺に敬意を持って接してくれるし、一度ローズ様が会いに来てくれて、ローズ様が帰った後に「なんて可愛いんだ〜」と悶えながらクッションを握りしめていた。


謹慎処分が下り、ガルフォード殿下の部屋を訪れるのは掃除や給事のメイドと侍従である俺しかいないが、いつ部屋に入っても大人しく勉強している。


以前のガルフォード殿下だと、「つまらん」と言って俺に嫌がらせをしてきたはずなのに。


…別人か?嫌。そんなはずはない。どうやって別人になるんだ?


謹慎期間のパフォーマンスかと思ったが謹慎があけても、この不思議な状況は続いた。


辺境伯のお嬢様であるリブラント様とお見合いのお茶会をしたときも、優しくエスコートして、笑いかけて話していた。


終わった後、独り言のように、「あの気の強そうなところが可愛いね」なんて言ってた。


ガルフォード殿下の好みのタイプはちょっとおバカそうなタレ目の巨乳の女の子のはずなのに。

ガルフォード殿下つきのメイドが皆、つり目でスレンダーなのは、メイドに手を出さないための王妃様の配慮だ。


そして今日、とうとうガルフォード殿下とリブラント様の婚約が決まった。

リブラント様は優しくエスコートしてくれるガルフォード殿下の事が好きになってきたようだ。


たしかにガルフォード殿下の見た目は最高級品。


夕暮れを思わせる赤みの強い髪に、深い碧の瞳。歩く様は威厳があり、あの顔で微笑まれると男でも見惚れてしまう。


中身はバカだけどな。


でも、以前のバカ殿下と違って、今のちょっとヘタレなガルフォード殿下の方がいい。


ガルフォード殿下が婚約破棄騒動を起こしたが、結局ローズ様のお父様であるグリーグ公爵様の後見を取り付けたし、リブラント様との婚約も果たした。


この婚約は、なかなか誰とも手を組まないウオルコード辺境伯からの後見と受け止められている。

資金も人材も潤沢な辺境伯の後ろ盾ができるのは大きい。


だから、大臣達はどうしてもガルフォード殿下を皇太子にしたいらしい。


今のガルフォード殿下なら、地の果てまでもお供してもいいかな?と食堂で昼飯を食いながら俺は思っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ