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新たなる世界


「て、転生不可能って一体どういう事だよ、

俺遂にもう死ぬの……?」



「安心して下さい、貴方はもう

とっくに死んでいますから」



「あ、それもそうか。


どうせ死んでるならもう安心だぁ ……

ってちゃうわい!」



「……なんですか、地球に戻れなくなった

からって急に焦り始めたのですか。


そもそも貴方が私に頼り切っているから

こんな事になるんです、だからもっと

日頃からあーだこーだetc……」



今日は何故かとことん機嫌が悪そうな

テミスは無視して、俺は言葉を続ける。



「だって、もう人間には……っていうか、

虫にすらなれないって事だろ……?


俺はこれから一体どうなるんだ……

消滅……? それとも、本当に地獄送r……

ひいいぃぃぃ……!」



俺の言葉を聞いて一瞬不思議そうな

顔をしたテミスは、不安でしかない未来に

ビビり散らしている俺にこう告げた。



「どうやら、何か勘違い

されているように見えますが……


人間としての転生は、出来ますよ?」



「え、そうなの?」



「はい。 あくまで私が無理だと

言ったのは、今までのように

貴方を" 地球 "に転生させる事です」



「ほうほう成程、て事はつまり……

宇宙で暮らす、的な……?」



「貴方が宇宙に転生した所で、

窒息死という新たな死因を歴史に刻んだ後に

意気揚々と此処(ここ)へ帰ってくるだけでしょう」



「……よく分かってるな、テミス。

流石の俺でもそれは予測済みだ」



「分かってるなら意味の無いことを

言わないでください……もう。


話を進めますよ?」



「ああ、よろしく」



流石の俺でもこの初の展開には

少し不安を覚えるので、


テミスの話に真面目に耳を傾ける。




「本来、死とは誰の元にも平等に訪れ、

納得のいく死を迎えた方には次の命……

つまり、新たな生命の宿り先へと導きます。


しかし貴方のように、その人生を全う

出来なかった方には救済措置的な意味で、

転生という形を取らせて頂いています。


転生した方の以前の記憶は世界から消え、

新たな存在として周囲に認知された世界へと

世界線を書き換えられますので、


無事に新たな生命体へと生まれ変わる為にも、

イツキさんには、何とか充実した人生を

送って頂く必要があるのです」




…………やっぱり、ワンUP女神だな。



「しかしながら、

貴方は地球で余りにも人生を

やり直し過ぎた為に、上から地球への

適正無しとの通達があったのです」



「成程……」



上からの通達って何だよ、

天界って人材派遣的な企業だったの?



「ですから、本来は地球以外の

惑星リストの中から選んで頂いて、

転生させて頂く所なのですが……」



「…………ですが?」



「私、実は管轄下の惑星を一つしか

持っていないので、今回は強制的に

そこへ転生して頂きます……」



少しすまなそうな顔でテミスは目線を逸らす。



「……いや、どうせ地球以外の惑星から

選べとか言われても、善し悪しなんて

分からなかっただろうし良いんだけど」



「そうですか……!

なら安心してお送り出来ますね!」



俺の言葉を聞いてほっとしたのか、

テミスの表情が一気に明るくなる。



「……で、ちなみにどんな所なの?」



「えっとですね、惑星その物には未だ名前は

付けられていないのですが、地球とは違い

魔法や魔物……いわゆる" モンスター "なんかも

存在する世界ですので、今まで以上に

慎重になって頂いて……」



つまりそれって、



「異世界転生って事かな、マドモアゼル」



「マドモア……? ちょっとよく分からない

ですが、どうしたんですかイツキさん。


……とてつもなく顔が気持ち悪いですよ」



ようやく俺のターンが来たようだ。




異世界転生。



そんな得体の知れないトキメキワードと

押し寄せる高揚感に胸踊ってしまっている俺は、


テミスから見ればさぞ気持ちの悪い

ドヤ顔を浮かべていた事であろう。



「さあ……早くこの俺を、

夢とトキメキと冒険の世界へ、

連れて行ってもらおう、KA」



今まで転生は腐るほど繰り返してきたが、


どうせすぐ死んで生き返ってはまた死んでの

無限ループで、そろそろ飽き始めていた所だ。



元々何が好きかと言われればRPGゲームが

好きだった俺は、ファンタジーな世界の

知識は多少なりとも心得ている。



仮に死んだとしても

この" 自称 "秩序と導きの神、

ワンUP⤴︎女神テミス様がきっとまた

何とかしてくれるだろうしな。



「なにか今、もの凄く失礼な事を

言われているような気がしたのですが……


まあ、いいでしょう。 それよりイツキさん」



「なにか、NA」



「せっかく、ログインボーナスについての

説明をしようと思ったのですが……


その気持ち悪い喋りを続けるのであれば、

このまま送ってしまいましょうかね……」



「はいはい何でしょう女神様」



鬼の速さで態度を改めた俺に対し、

テミスは若干引きつった笑みを浮かべていた。





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