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終わりの始まり


この物語は、

やたらと死亡フラグ引きやすい一人の男が

真面目に魔王を倒しに行くこともなく、

世界を救った英雄となることもなく、


それなりに平和な異世界生活を送ろうと

奮起するお話になっているので、

シリアス展開は少な目です。


更新頻度高めで頑張るので

宜しくお願いします!



「……はぁ」



俺、


佐久間 樹(さくまいつき)は今、


嫌という程に見慣れたその景色を

前にして、それはそれは

大きな溜め息をひとつ漏らした。



「…………また、なのですね」



俺の溜め息を聞いて目の前の美女、

いや……美女神は、呆れたようにそう呟く。



「ごめんテミス……どうしても、

道路に飛び出す猫を見捨てられなくて……」



「助けた結果、轢かれたと……

そういう事ですか」



そう。


俺は車が行き交う道路に飛び出した猫を

助ける為に、身を呈して猫を助けた。


そして見事、


車に轢かれて死んだのだ。




死して魂となった俺は、このようにして

生と死の狭間である天界へと呼び出され、


" 秩序と導きの女神テミス " の力によって


次の転生先へと案内されるはず、なのだが。




「確か前回も、川に溺れている狸を

助けて溺死、とか言ってませんでしたか」



ウッ……



「その前は、おばあさんが信号を

渡りそびれたのを助けて自分が轢かれ」



ウウッ……



「その前の前は、火事現場に取り残された

子供を助けて自分が一酸化炭素中毒に」



ウウウッッ……



「確かに、他者の命を助けるという行為

そのものは大変御立派な事だと思いますよ?」



「あ、どうも……」



「でも、死亡フラグの分別くらいはそろそろ

付けられるようになってもいいんじゃないかと

思うんですよ、私は」



「はい……申し訳ございません……」



死後の世界で唐突に始まる、

女神様のお説教。


……だが、それも無理もない。


何故なら、



「だって、今回でもう遂に100回目ですよ!?」



……という訳である。



「おかげで昨今の女神界隈では、

私がイツキさんとデキてるだとか、

もはやイツキさん専属女神だとか、

ありもしない噂が次から次へと……ああ……」



「あ、えっと、いやぁ……照れますね」



とりあえず茶化してみる。



「おめでたがってるんじゃありません!


もう少し御自身を労わって、人生を大切に

生きて下さいと言っているのです!」



テミスとはもう会うのも100回目で、

そろそろだいぶ長い付き合いになるのだが

珍しくキレッキレだな今日は。



せっかく見た目が可愛いのに、

そんな丸められたパンツみたいに

シワシワな顔したら美人が勿体ないぞ?



「んーまぁ……なんて言うか?

体質的なアレ?って奴なのかな? みたいな」



「体質的な?の一言で、そんなどこぞの

スーパーマ〇オみたいにポコスカと

死なれてはこちらも困るんですよ!」



「あれ、もしかして残機切れ……?」



「貴方、私を一体なんだと

思っているのですか……」



「…………ワンUP女神」



「……もう、このまま地獄へ

落ちて頂きましょうか」



「すみませんでしたごめんなさい直ちに発言を

撤回しますのでお許しください美しい女神様

どうか地獄行きだけはご勘弁を」



「……分かればいいのです」



フゥー。


何とか女神のご機嫌が取れて一安心の俺。



「では、本題に移りますが」



遂に女神の口から次の転生先の話が

始まる予感がして、

俺はごくりと喉を鳴らす。



「……残念ながら、貴方を地球に

転生させる事はもう出来ません」



「そうだな、次は北海道辺りにでも転生して

未だ味わったことの無い海の幸を……


………………ん?」



「ですから、貴方を地球に

転生させる事は、もう出来ません」



「………………アナタヲ、チキュウニ?」



テミスが淡々と続く。



「転生させる事は、もう出来ないのです」



な、なな、な……



「なんですとぉッッ!?」



これは、


死亡回数通算100回目にして

遂に変革がもたらされた、


俺の新たな冒険の1ページである。



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