ねぇ、かみさま。
神、という存在を。
きみは信じているかい?
…君は、信じているんだね
僕はね、信じていないんだ
…え?この街で神様を信じていない人を初めて見た?
はは、まぁ珍しいだろうね。
この街は神への信仰心がとても強い。
他の街とは比べ元にならないくらい、ね
だからこそ、かなぁ。
僕が神という存在を信じなくなった…嫌いになったのは
こう見えて
僕だって、初めは信じていたんだ
毎日毎日、教会へ行って、膝まづいて、手を組んで、
神に、祈りを捧げたよ
…それなのに、なんでこうなっちゃったかな
◆
お母さんの声が聞こえる
母「教会行くよー。持ち物持った?」
『うん。持ったよ』
母「そう。良かった。忘れ物してら大変だもの」
お母さんと手を繋いで教会へ向かう
かみさまは凄いんだ
ずーっと昔、神様がこの世界を作ったんだって
この街は色々なことがあってみんな苦しんでた
その時、かまさまが助けてくれたんだって
だからみんな教会で神様に感謝するんだって
なんだっけ、いのり、だっけ
いのりの時間に神様にありがとうってするんだって
僕はよく分からないけど、かみさまは皆を助けてくれるんだって!幸せにしてくれるんだって!
僕もおっきくなったら神様みたいにみんなを助けるんだ!
教会が見えてきた
いつ見てもおっきくて、きらきらしてて、凄いなぁ…
◆
大人の人が前で話してる
お話は長いけど、かみさまのお話だから僕全然平気だよ
いのりの時間。僕はこの時間がだいすき
かみさまが僕を見ててくれてるって気がするから
かみさま、いつもありがとうございます
このまえ畑で野菜をしゅうかくしました
どれもおっきくてよく育ってました
みんなかみさまのおかげだ!と感謝していました
これからもお空の上から僕達のことを見守っていてください
◆
?
泣き声?
泣き声が聞こえた方を見ると僕と同じくらいの男の子がいた
『…大丈夫?』