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魔法少女レダ

田舎へ帰ったレダとイアンは、レダの師匠が住む家へと直行した。

案の定、外のテーブルに足を乗せて、酒をかっくらっていた。

「おや、レダじゃないか?」

田舎に似つかわしくない艶やかな魔女が弟子を見て声を掛けた。

「師匠、相変わらずですね。酒くさっ・・・。」

「乳臭い子供が生意気なのよ。」

「乳臭くないですっ!」

「こんにちは。」

イアンが挨拶した。

「おや、イアン、暫く見ないうちに・・・・何も変わってないわね。」

「まあ・・・、それは。うちの師匠って何処に行ったか知りませんか?」

「たしか・・・えーっと・・・、ああそうだ東の教会へ行くとか言ってたね。」

「東の教会ですか。わかりました。」

「えっ、イアン。もう行くの?実家は?」

「特に用もないからね。俺は行くよ。」

「そ、そう。イアン頑張ってね。」

「ああ、レダもね。」

そうして、イアンは東の教会へ向けて旅立った。

「で、レダ。」

「はい?」

「旦那はどうした?」

「だ、旦那じゃないですっ。チーズの町で荷受けの仕事をしてます。」

「ははははは。」

酔っ払いが大笑いした。

「そ、そいつはお似合いな仕事だね。」

「し、仕方ないじゃないですか、レオースには師匠が居ないんだから。」

「まあねえ。」

「それよりも、師匠。私に魔法を教えてください。」

「おんやあ?私には才能が無いって泣き言言ったのは、誰だっけ?」

「む、昔の事です。」

「まあ、教えるのはやぶさかじゃないけどね。どれ、久々にあんたのそよ風でも見てみるかね。」


この世界の魔法は、魔法のレベルで、威力の上限は決まっている。ウィンドカッターであれば、レベル1の魔法なので、どんなに魔力量があっても、最大威力は変わることがない。

ただ、最大威力の上限は決まっていても、下限は底知れず。魔法が発動できない者が使っても風すら起きない。

「ウィンドカッター!」

魔法を発動させる一つの要因に、イメージがある。イメージさえ掴むことが出来れば、一度使用した魔法を再現するのは、それほど難しい事ではない。

レダが放ったウィンドカッターは、最大値とまではいかなかったが、ちゃんとそれらしい魔法になっていた。

「へえ、やるじゃないかレダ。」

「ちなみにウィンドストームも出来ます。」

「それはいくら何でも無理だろ?」

「ウィンドストーム!」

これまた、そこそこのウィンドストームを放つことに成功した。

「レダっ!」

ガシっと肩を掴む師匠の顔は怒りの表情だった。

「あんた、魔石を使ったね!」

魔石を使えば、発動できない魔法を発動させることが出来る。魔術師であれば、一度発動さえすれば、それ以降、大概の魔法が使用可能となる。発動条件がある魔法については、一度使ったからといって、次も使えるとは限らないが。

「い、痛いです。師匠。私達なんかが魔石を手に入れられる訳ないじゃないですか?村や町が何個も買えるんですよね?」

「そ、そうだけど・・・。」

レダの師匠は不安に駆られた。

魔石の原料は、魔力量が多い人間。

それを生成するには、高位の魔術師が何人も必要になってくる。

偶然、レダ達が手に入れる可能性は、限りなくゼロに等しい。

「実はですね・・・。」

レダは、アナスタシアの事を師匠に説明した。

「ブラッディフッドの弟子?」

「ええ、そうなんですよ。」

「なるほど、それで・・・。」

「それで?」

「知らないのかい?魔術師協会が、ほぼ壊滅状態になった事を?」

「へ?」

レダの師匠は、先日起こった事件の事を、話した。

「そ、そんな、アナがっ・・・。」

今にも駆けだしそうになるレダを師匠は止めた。

「レダ、落ち着いて。もう事件は終わってる。」

「アナは、ブラッディフッドの弟子はどうなったんですか?」

「恐らく無事さ。何かあったら、ヴィルドンゲン国自体が無事じゃあ済まないだろうからね。」

「そ、そうですか・・・。」

ホッとするレダ。

「酷い、B級冒険者なのに、アナを売るなんて。」

レダの怒りは、カイン達に向けられた。

「きっともう死んでいるよ。そのB級冒険者たちはね。」

「え?」

「ブラッディフッドの弟子に手を出すって事は、そう言うことさ。」

「魔術師協会もブラッディフッドが?」

「いや、そっちは、スノークイーンさ。6割にのぼる魔術師協会の人間を処刑したのさ。」

「ろ、六割も・・・。」

「むしろ協会が潰されなかったことに私は驚いたけどね。」

「師匠は協会とは?」

「私は無関係さ。それに今じゃあ魔術師とは言えない生活をしてるしね。」

「この村の寄生虫ですもんね。」

「何言ってるんだい。私がいるから、この村は襲われることは無いんだよ。」

「こんな何もない村、元から襲われませんよ。」

「ふっ、暫く見ないうちに言うようになったじゃないか。」

「私だって成長してるんです。だから魔法を教えてください。」

「泣きだして投げ出さないって約束できるならね。」

「しませんよ、そんなことは、もう。」

「いいだろ、私が知りうる魔法の全てをレダに教えてあげるよ。」

「お願いします。」

そう意気込んでいたが、魔法の修行の前に、苦行が待っていた。


「な、なんなんですか、この家は・・・。」

師匠の家の中に入ってレダは驚いた。

「ゴミ屋敷じゃないですか、これ。」

「酷い事を言うね。これでもちゃんと寝起きは出来ているよ。」

「・・・。」

ゴミ屋敷の大掃除に、実に3日もかかってしまった。

レダは実家で暮らすから問題ないにしても、異臭が漂う家には我慢がならなかった。

「こんなに広かったんだね、この家は。」

「師匠、誰も嫁に貰ってくれませんよ?こんな生活していたんじゃあ。」

「ふっ、私のこの美貌をもってすれば、男の一人や二人。」

「美貌は年齢と共に衰えていきますよ?」

「くっ・・・。」

「それにこんな田舎に引き籠っていたら、男だって居ないじゃないですか。」

「ふっ、レダ、私みたいになりたくなかったら、レオースの事を手放すんじゃないよ。」

「い、言われなくても、そのつもりです。」

「まあ、駄目なら直ぐに、次を見つけるんだね。私みたいにいつまでもウジウジしていたら、待っているのは孤独死だけさ。」

そうしてレダの師匠は悲しい目をした。

レダの師匠とイアンの師匠は、名のある剣士とパーティーを組んでいた。レダの師匠とその剣士は、恋仲だったのだが。

ある依頼で剣士が命を落としてしまい、それが原因でレダの師匠は冒険者を辞めてしまったのだ。


魔法の修行はレベル3から行われた。

「ストームエッジ!」

刃の嵐が、敵を包む魔法だが。

風すら発動しなかった。

「相変わらず魔法の才能が無い子だね。」

「いいんです。覚えておいたら役に立つことだってあるかもしれないし。」

「ブラッディフッドの弟子が帰ってくるとでも思ってるのかい?」

「B級冒険者たちに騙されていたんだから、きっと戻ってくるはずです。」

「戻ってこなかったら?」

「それでも魔法を覚えておきたいんです。たとえ無駄になるとしても。」

「いい心がけだ。まあ最初に宣言した通り、私が知ってる魔法を全て覚えるまで、強制的に教え込むつもりだからね。」

「は、はい・・・。」

少しだけレダは尻込みした。


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