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悪役令嬢クビになる

「ありえませんの、どうして私がこんなジメジメと鬱蒼とした場所へ行かなければならないんですの?」

グチグチと愚痴を垂れ流す女性は、アナスタシア。

およそ冒険者とは程遠い格好で、冒険者パーティと共に居た。

彼女が護衛されているわけでなく、彼女も冒険者パーティの一員だった。

剣士と斧闘士が、モンスターと戦う最中、ずっと愚痴を言い続けるアナスタシア。

それには理由があった。

実は、彼女の愚痴には、支援効果がある。

それ故に、彼女は思うままに愚痴を言い続けているのだが。

剣士も斧闘士も魔法使いも僧侶も。

全員が、彼女の愚痴にイラっときていた。


剣士ロビンを中心とした冒険者パーティは、中堅クラスのパーティで、今回のモンスター討伐も6,7割の力で任務が遂行できてしまう。中堅だからこそ、全力で全うする任務なんて、そうそうあるはずもなく、本当にアナスタシアの愚痴に支援効果があるのかも半信半疑だった。


「おい、ロビン。もう限界だ。いくらブラッディフッドの弟子だからと言って、ありゃあないわ。」

任務が終わり、宿で休んでいる時に、斧闘士がロビンに言った。

「そもそも本当に、ブラッディフッドの弟子なんですか?」

魔法使いが剣士ロビンに聞いた。

「残念ながら本当だ。ブラッディフッドから直々に頼まれたからな。」

「ていうことは、クビには出来ねえのか?」

「いや、性格に難ありなので、手に負えなくなったらクビにしてもいいとブラッディフッドから言われている。」

「じゃあ決まりだな。」

「そうですね。彼女がパーティで役に立っているとは思えません。」

斧闘士、魔法使い、そしてここには居ないが、女性の僧侶、全員の総意だった。

「お前が言いにくいなら、俺が言ってやろうか?」

「いや、それには及ばない。俺から言うよ。」


ロビンたちのパーティに参加して1ヵ月。

アナスタシアは感じていた。

いかに自分が役に立っているかを。

自分が加入してからというもの、悉く依頼を簡単に達成しているから、そう感じているのだが。

実際は、ロビンたちの能力が中堅クラスでも上の方であり、そこまで高難易度の任務をこなしていないからなのだが、そんな事には気が付いていない。

「このままいけば、魔王クラスだって討伐できそうですわ。」

「そ、そうね・・・。」

同室の女僧侶は辟易していた。

ただ愚痴をたらたらこぼしているだけなのに、何処からそんな自信が湧いてくるのだろうか。

「ねえ、あなたの師匠は、魔王の一人を討伐しているわよね?」

「ああフェンリルの事ですの?」

「そう、そのフェンリル討伐の時、あなたは何をしていたの?」

「私ですか?フェンリル討伐は、私がお師匠様と出会う前の話ですわよ。」

「そ、そうなんだ・・・。」

てっきりフェンリル討伐の時も、愚痴をこぼしまくってブラッディフッドを支援していたのかとも思ったが、どうやら違うらしい。

「このパーティで、いつか魔王クラスを討伐して、義妹やスノークイーンを見返してやりますわ。ふふふっ。」

大いなる野望に火を灯すアナスタシアであった。


翌日。

「は?」

剣士ロビンからクビを言い渡されたアナスタシアは、固まった。

「申し訳ないが、俺たちの冒険はここまでだ。ブラッディフッドには宜しく伝えておいてくれ。」

ロビンが最後にそう言い残すと、一同は去って行った。

ポツンと取り残されるアナスタシア。


「う、嘘ですわ・・・。この私がクビだなんて、ありえませんわっ!」

宿前にて、ただ一人、絶叫した。

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