いや、誰だよ
「キャー!」
「キャー!」「キャー!」「キャー!」
俺が思わず悲鳴を上げてしまったことで、それが伝染するかのように次々と至るところからも悲鳴が上がる。
あっ、やばっ
すぐさま俺がしてしまった、事の重大さに気がつくがもう遅い。夜であることも加え、悲鳴が悲鳴を呼び、さらには相手のことを考えず我先にと逃げ出す者で、辺り一帯は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
やっべ、これやっべ。よし逃げるか。
迷いなく逃げることを決意した俺は、未だに混乱状態の住民達に混じるように、電灯のない場所を目指して走った。
あ、それと、ナニがとは言わないが走るたびにナニがバチンバチン足に当たってすごく痛い。いらない報告だったな、すまない。
「そこの全裸!止まれ!」
それから走って一分もしないうちに、後ろから怒声が飛んできた。恐らく警察だろう。
まぁ、そうなるよな。これだけ周りの住民をパニックにさせたうえ、俺の今の姿は全裸。
ああ、真面目なことが俺の唯一の取り柄だったのに。意図しての事ではないといえ、俺が迷惑を掛けたのは事実なのだからしょうがないだろう。
これからどうなるのだろうか、という不安を覚えながらも、抵抗の意志がないことを示すために両手を頭上に掲げ、恐る恐る振り返ると、そこにはーーーー
いや、誰やねん。
ーーーーそこには、全身を純白な鎧で包み込み右手には剣を、左手には盾を装備した“聖騎士”と名乗る三人組が、道を塞ぐように立っていた。