始まり
俺(主人公)......高木 王輔 (たかぎ おうすけ)
[プロローグ].決勝戦
「バシャッバシャッ!!!」水中に響く音など聞こえずひたすら手を動かしている。
水面はとてつもない勢いで揺れ、耳や鼻の中に入ってくる水の痛みも気にしていられない。
目に見えているのは泡が混ざり透明に見えない水中と...プールのコースを分けるために浮いている
レールのようなアレ...!それが見えているということは、このまま進んだら間違いなく他のコースに...!
「ボン!」地上に響く大きな音。感じなかったはずの痛みが体を襲った。
水が入った耳は聞こえづらいはずが痛いほど周りの音を吸収していく。観客席からの悲鳴と耳なりの
雑音が混ざりあって頭がくらくらする。
あれ?俺は今どうして水面から顔を出してんだ?泳いでいるはずなのに手が動いていない。しかも目があいてる。
それに頭が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうして
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1.始まり
夢を見た。決勝戦で優勝し、大きなトロフィーを手に笑顔で観客に手を降る夢。夢の途中で気づいた。
これは現実ではない。自分はこの感覚を味わいたかったということを。
目を開けるとそこには見慣れた自分の部屋の天井。何故眠っていたのかが思い出せない。
時計を見ると夜11時。両親はまだ起きている時間だ。とにかく話を聞こう。そう思い、階段を降りていたとき。
「あの子頑張っていたのに、、、。可哀想に。」
「よりによって敵と接触するなんてなぁ。まあ、あいつが相手のコースに入ってしまったんだし、
相手の方が可哀想だよな。」
「ええ、しかも相手は首の骨と歯を折ったんですって。私達謝りに行かなきゃ。」
「はぁ。そもそもこうなったのもあいつのせいじゃないか。」
俺が、、、相手に迷惑をかけた!?。自分の真実を受け入れることができなかった。
決勝戦で勝てなかった悔しさより、相手を怪我させた申し訳なさが俺の心を苦しめた。
俺は玄関のドアを開け、夜の寒い風が吹くなか走り出した。とにかく遠くへ走った。
そしてどんどん苦しくなっていき、意識がなくなっていった。
気がつくと、見覚えの無い白い天井。ここはどこだ?そう思いベッドから起き上がり近くのドアを開ける。
すると、近未来的な訳の分からない機械と金でできているようなピカピカな椅子と机。椅子には誰かが座っている。
椅子に座っているのは誰、、、?。こっちに気づいたその人は、「良かった、生きてて。大丈夫?。」と聞いてきた。
俺と同年齢位か、年下にも見える。俺はすかさず「ここはどこだ?教えてくれ。」と言った。すると「僕の家さ。」
と言い、「ここ、窓がトイレにしか無いから空気悪いでしょ。少しぶらっと家の周り紹介するよ。」と言った。
そして玄関らしき場所のドアを開ける。そこから見える景色が見たことの無い場所だったので、
好奇心で「良いぞ!散歩しよう!。」
と言ってしまった。誰かも分からない人の家で寝ていたっていうのにホイホイその人の言うことを聞いた俺は
バカだな~と思いながらも起こっていることが漫画のようで、とてもウキウキしていた。
次に続く..............