日常
「あなたの存在が後一週間で消え去ります」
突然言われたその一言に、俺は何を考えていただろうか。
あの時の俺は、こんな結末を迎えるとは思いもしなかった。
━━これは、悲しみの淵からタイムリミットを宣告された高校生の物語である。
━━第1章━━
「だから、俺は赤の方が良いって言ってるだろ!青なんて地味すぎるんだよ、なんでそんな色が好きなんだよ!」
そんなの知らない。ただ好きなんだ、じゃこいつの性格上納得してくれないだろう。
「・・・なんか落ち着くんだよ」
「意味わかんねぇよ、熱血の赤の方が落ち着くだろうよ、光太よぉ!」
やはり相変わらずうるさい。少し静かにすることは出来ない・・・んだろうな。
「うるさいわよ、謙一!授業がそろそろ始まるんだから席に戻りなさいよ!」
「おうおうおっかね~、流石鬼の鬼子だな~!」
「誰が鬼子よーっ!!」
歯を剥き出しにして今にも噛み付こうと言わんばかりの形相。流石鬼子と言われてるだけあって、泣く子も黙りそうな顔をしている。
「あ、今光太もあたしの事鬼みたいって思ったでしょ!?」
「ぎくっ」
「やっぱりねっ!謙一と光太、二人とも許さないわよ!」
「おい、お前たちなにやってるんだ、もう授業のベルは鳴ってるんだぞ、席につけ!」
「う、すいません先生・・・」
鬼子が謝りながら席につく。
怒ったときの顔は怖いが、普通にしていればわりと美人な顔をしているとは思う。
髪も黒髪のボブで、わりと女の子らしい。
ちなみに鬼子の本名は 鬼塚京子 (おにづかきょうこ)。だから略して鬼子と呼ばれている。
世話焼きな性格もあり、毎回謙一がバカな事をすると鬼の形相で説教をしにいくのだ。
謙一こと 荻田謙一 (おぎたけんいち)はバカで空気が読めないことも多々あるが、とにかく明るくて俺と正反対だ。
だからこそ逆に親友として一緒に入れるのかもしれない。
そんな3人の関係がこれからも続くんだと一点の疑いも持っていなかったのだが。
━━それがすぐにぶち壊されることになるとは、その時の俺は知る由もなかった。