星空
ミリアは久々に寝れなかった。
もしかして王妃は私の事を知っていたのかもしれない。
「コンコン」
窓を叩く音がした。
ミリアは窓に姿が見えない位置に隠れ様子を見ていた。
「アリア姫ー寝てるのかな?」
こんな時間に部屋にくるなんていくら王子様と言えど非常識過ぎる。明日、説明して今日は諦めてもらおう。
「アリア姫いる事はわかってるんだ。だから頼むよ話して欲しい」
だがなかなか帰ってくれない。ミリアはアリアを呼ぶがアリアは疲れて寝てしまっていた。
目の色はそのままだが、夜だから分からないだろうと簡単な外用の服に着替えて窓から飛び降りた。
「アリア姫って身軽なんだね」
呑気な事を言いながら彼はミリアの手を引いて歩いていく。
ふと彼を見た。そんな彼の後ろ姿はいつにも無く寂しそうだった。10代から国を背負うかもしれない人。気楽そうに見えても常に国民を守る存在でいなければ行けない彼は毎日国のために動いている。きっと死ぬ程疲れているのに一切の疲れを見せない。きっと彼なら立派な王になるだろう。ミリアはそう思っていた。しかし体が無くなった事や王妃の件といえ、まだ信じてはいけないだろう。
クラウはなにも話さずどんどん進んで行く。
「何処へ向かっているのですか?」
耐え切れず聞くとなにも応えずクラウは微笑みあるくのを速くした。
少ししてあたり一面の花畑に出て来た。しかし暗くて、花は見えずお世辞にも美しいとは言えなかった。
「上を見て」
クラウはミリアのと手を繋いだまま仰向けに寝転んだ。その勢いでミリアも倒れ強い痛みに耐える準備をしたのだが、痛みはなく、クラウの腕に抱きとめられた。
空には数えきれない程の星が輝いていた。