決意
(…あとは任せたわ)
夢の中でミリアの声が聞こえたような気がした。
ビンタされた衝撃で気を失っていたアリアは突然の衝撃と共に目を覚ました。
目の前にいたクラウド王子は目を真っ赤にして涙を流していた。
クラウド王子の腕の中にいたアリアは慌てて起き上がろうと地面に手をついたアリアはゾッとした。辺りは血で真っ赤に染まっていた。
(ミリア!!!)
呼びかけるも反応はない。
「クラウド王子…すいません意識が飛んでしまって…」
アリアは慌ててクラウド王子に状況を聞こうと声をだした。
「ミリアから全て聞いたよ、君がアリアだね。」
アリアは驚きが隠せなかった。
王子がこの奇妙な現象を受け入れている事はもちろん、ミリアが王子をここまで信じていたとは…
アリアも王子の事を信じたいとは思っていてもミリアの消息がはっきりするまでは隠し通すつもりだった。
「クラウド様、ミリアは生きています」
アリアははっきりとそう言った。こんな状況でも何故かはっきりと分かった。
ミリアは確実に生きている。
そして必ず助け出す。
息を吹き返した彼女の瞳は琥珀色になっていた。そうか僕はこんな事に気づかなかったんだ。ミリアがアリール姫という事は食事会でもう気付いていた。
あの日はそれを確認する為に誘ったようなものだった。それほどまでに初めて見た時からなぜか僕はミリアに夢中だったのだ。
しかしそんな大切なミリアを1番傷つけてしまっているのが自分なのだ。
そう思うと涙が止まらなかった。
腕の中で目を覚ましたアリアは不思議そうに僕の顔を見ている、アリアの強い琥珀色の瞳は僕を真っ直ぐ見つめて言った。
ミリアは生きています。
本当なら大切な姉妹を傷つけた僕に怒りが湧くはずなのに…彼女達は心まで強かった。
「彼女は必ず僕が助け出すよ」
アリアは少しほっとしたように笑った後また目を閉じて眠った。