雪
なんども夢に見た
絶え間なくふるふると舞い落ちる雪の
その向こう側を
けれどいつのときも
踏み出すことなどできないままに
青く重ねた冬の終わり
あのとき
真白な雪にまみれ
いのちの熱量を奪いつくす引き算に
すんなりと身をまかせてしまえたならば
いびつな心も
厄介なつながりも
薄汚れたあしあとさえも
雪解け水とともに
見事にかたちを失ったはずなのに
時を逃し
少女ですらなくなった私は
いまさら何処へも
辿りつくことができないままに
ひとり立ちすくむ
あのときのように
ふるふると降る雪に
ただ茫然と埋もれながら