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【書籍化】異世界来ちゃったけど帰り道何処?  作者: こいし
第十五章 帰路に塞がる白い闇
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ノエルの真実

 消失した屍音は何処へ行ったのか。

 そんな問いを誰かが言うまでもなく、親切心から教えるような気安さで、エルフリーデは淡々と語ってくれた。彼女の神葬武装、『神ノ庭(ヴァルハラ)』の能力について。

 それは別に、彼女が特別優しいとか、親切な性格だからではない。能力を教えてしまったとしても別段問題ないと、確信しているからだった。

 それこそ、彼女は序列第一位――桔音が相手をしてきた序列組の頂点、おそらく今までの神葬武装にも劣らぬ能力と実力を兼ね備えているに違いない。

 だからこそ、己の力を晒そうが知ったことではない。


 ――どうせ(・・・)勝ててしまうのだから。


 彼女の神葬武装の能力は至ってシンプルだ。

 まさしく神の"庭"に等しき力。つまり、『この世界とは全く次元の異なる空間を作り出し、彼女の選択した存在を閉じ込める力』だ。


「まぁ、その空間自体にもちょっとした性質があったりするんだけど……そこは別にいいだろう。とにかく、彼女は私が許すまで出てはこれない」

「……それで、どうするつもりだ?」

「そう睨むなよ、私は別に君達を如何こうしたいわけじゃないさ。博士の指示はきつね君の拘束、連れてくることだし……出来れば邪魔せず大人しくしててくれればいいんだけど」


 そういうわけにも、いかないんだろう? そう言いたげな視線を送るエルフリーデに、リーシェ達はやはり戦闘態勢を取ることで応えた。

 溜息を吐きながら、エルフリーデはどうしたものかと唇を尖らせた。元来、彼女は戦闘をあまり好んでいない。神葬武装も戦闘向きではない故に、彼女の戦闘能力はそもそもその身一つでの戦闘に限られるのだ。

 見た所、彼女は武器は持っていない。ならばスキルか、近接格闘術かだが。


「うーん……ん? ああ、これならもう考える必要はなさそうだね」

「なに?」


 暫くうんうんと考えていたエルフリーデが、唐突に問題は解決したとばかりの声を上げる。それに対し、余計警戒心を高めるリーシェだが――その疑問はすぐに解けることになる。

 何故なら、そこには彼女達が目的とする人物が姿を現したからだ。


「あれ? レイラちゃんじゃなかった」

「来たね、きつね君――手間が省けて助かるよ」


 瞬間、


「きつねさん逃げてッ!」


 草むらを掻き分けて出て来た桔音に向かって、ステラが飛び掛かる。咄嗟に声を上げたのはフィニアだったが、寧ろ彼女の声だからこそか……桔音は飛び掛かってきたステラに反応出来た。

 雷の槍の穂先を身を捻るようにして躱し、その勢いで前に出る。片足を軸に更に回転すると、そのままステラの背後を取った。

 しかしステラも実力者。空を切った槍を手首を軸に回転させると、振り向く手間を省き、方向の変わった槍先を背後の桔音に向かって突き上げる。


 金属同士のぶつかるような音が鳴る。

 それは突き上げられた槍の穂先を、桔音が空中に生み出した瘴気の刃で逸らした音だ。それはすぐに切り裂かれて霧散するが、その間に生まれた数秒で桔音はバックステップ。ステラから距離を取った。


「リーシェちゃん……屍音ちゃんがいないみたいだけど?」

「そいつの神葬武装で別空間に閉じ込められているらしい……詳しくは分からないが」

「まぁ、それはそれで大人しくなるならいいか。封印が解けたらそこそこ面倒な子だし」


 そして即座に状況把握。

 リーシェも状況を見て、簡単にまとめて説明してみせる。状況を軽く把握した桔音は、そのままステラとエルフリーデを警戒――この状況をどう打破すべきかを考える。


 しかも桔音にとって問題はこの状況だけではない。

 此処にいる人間を数え、消えた屍音と合わせると、どう考えてもこの場に居ないレイラの他にもう一人……桔音の知らない人間がいる。

 瘴気の索敵を広げれば、この場に居ない人間が二人、此方に向かって移動しているのが分かる。片方がレイラなら片方がアリアナということはないだろう。また、片方がアリアナであるのなら、もう一人は誰か想像が付かない。何故なら、神殿には玖珂やマリア、メアリーがいるのが分かっているのだ。


 ならば、この謎の人物は誰か。それはすぐに分かった。


「あ……いた」

「えー……なるほど、君かー……」


 桔音が此処に到着するのに少し遅れて、レイラと最強ちゃんが此処に現れたからだ。

 神殿に残されている玖珂とメアリーを除いて、この島に居る全員が此処に集まったことになる。まさか此処に最強ちゃんがやってきているとは思わなかった桔音だが。

 だがそうなると、アリアナは最強ちゃんによって打倒されたということになる。この場に居らず、また瘴気の索敵に動きのある気配として引っ掛からないことから、それは確実だろう。


 助かった、と考えるべきか、状況がまたややこしくなったと考えるべきかは、桔音としても悩むところである。


「きつね……勝負」

「いやいやいや、ちょっと待って。そんな空気じゃないのは分かるよね?」

「…………どれが敵?」

「え、あー……この人とこの子」


 早速と言うべきか、最強ちゃんが個人的な目的を優先して話し掛けてくるが、桔音がそれを拒否する。それを受け、仕方なく先に問題を片付けてからにするかと、彼女は桔音の指差したエルフリーデとステラに向き直った。


「きつね君」

「レイラちゃん、無事で良かったよ。髪切ったんだね……で、なんであの子がいるのかな?」

「えーと……ルークスハイド王国の王女さん達とか、勇者達とか、なんか色んな人が援助として送ってくれたみたいだよ?」

「成程……頼もしい限りで」


 遅れて合流するレイラに少しばかり安堵しつつ、最強ちゃんのやってきた理由を聞いて桔音は頬を引き攣らせた。


 そうしている間にも、最強ちゃんはエルフリーデ達の方へと歩み寄っていく。

 対する二人も突然現れた怪物に僅かに身構えた。身にまとう気配といい、立ち居振る舞いの隙の無さといい、間違いなく並の実力ではないことが分かる。

 先程まで余裕を持っていたエルフリーデも、流石のイレギュラーに表情を曇らせていた。どうするべきか、二人の心に僅かばかりの緊張が見えた。


「……どちらさまかな?」

「ん、さいきょー……」

「残念だけど、今日はきつね君達以外で招待した覚えはないんだけどなぁ」

「……泳いできた」

「マジかよ」


 エルフリーデの問いかけに対し、短い言葉で応える最強ちゃん。

 まさかの泳いできた発言には、流石の桔音も突っ込まざるを得なかった。道中、Sランク魔獣である『黒鯨』に遭遇したのもあって、あの怪物だらけの危険な海をその身一つで超えてきたというのは、中々にぶっとんでいる。

 どうやら、最強ちゃんにとって水陸は関係ないらしい。『超越者』とはいえ、やはりその行動はいちいちぶっ飛んでいた。


 しかし、エルフリーデとステラはそんな彼女に対して焦りや恐怖といったものは抱いていなかった。寧ろ身構えただけで、内心にはまだ余裕がある。

 それというのも、エルフリーデにとってはこの状況をどうにかすることなど容易いからだ。序列第一位という肩書は伊達ではない。


「まぁ、いいか……目的はきつね君を博士の下へと連れていくこと。他の子達が付いて来たところでどうにでもなるか……」


 呟き、彼女はゆっくりその手を動かした。

 自分の顔の高さまで手をあげると、指を一つ、鳴らす。


「じゃあ、話の続きは神殿でしよう」


 ぱちん、小気味よく鳴り響いたその音と共に、桔音達の周囲の風景は一転した。



 ◇



 気がついた瞬間、桔音達の居る場所は元の神殿の内部へと戻っていた。

 目の前には先程と同じように立っている玖珂がいる。エルフリーデとステラも、彼の後ろに控えるようにして立っていた。

 対し、桔音の方には最強ちゃんを含め此処にやってきた全員がいる。状況は最初の状態へと戻されてしまったらしい。これもエルフリーデの空間を操る神葬武装の応用だろうか。


 エルフリーデの力をその身で実感し、脅威だと感じる桔音。もしかしたらここへやってくる際の船の空間制御も、彼女の力なのかもしれない。


「|Welcome backおかえり、桔音君。さぁ、話の続きと行こうじゃないか」


 心の底から楽しげに、玖珂がそう言ってくる。まるで思っていた通りの状況だと言わんばかりの様子だ。多少を苛立ちを感じながらも、桔音は彼に向かい合った。


「どうやら逃げられはしないみたいだね」

「分かってくれたところでなによりだ。まぁ……アリアナはそこの異分子にやられてしまったようだが……ようこそ、歓迎しよう最強の冒険者」

「……お前が、親玉?」

「yes、まぁ君が来たのは予想外だが……それは良いとしよう、まずは途中で遮られてしまった話を再開しようじゃないか」


 途中で遮られた話、それは玖珂の歩んできた道のりの話。

 レイラの過去、そしてルルの過去にまつわる悲劇に続く話だ。此処まで桔音が歩んできた道のりに、玖珂の巻いてきた種があるらしい。


「まぁ、鬱陶しい小娘も居なくなったことだし……奴の話はこの際どうでもいいか」

「……」

「ならば、最後のお話だ。ルークスハイド王国の実験施設について教えてあげよう……そう、そこの幽霊の君にまつわるお話だ」

『……私かー……悲惨な最後なのは知ってるけどね』


 ククク、と喉を鳴らす様に笑みを噛み殺す玖珂は、桔音の隣に浮遊するノエルを見る。

 彼女の末路は到底直視出来るような物ではなかった。桔音が暴いたあの施設にいた彼女のクローン、そして遺された日記、悲惨な実験の歴史、そのどれもがあの施設の残虐性を物語っている。

 そして、その黒幕こそ玖珂という男。遂に、ノエルは自分自身の過去を知ることになる。


「初めはなんと言おうかな……そう、あの実験施設の目的について語ろうか」

「目的?」

「そう、それこそがエルフリーデ達の誕生の切っ掛けでもある……あの実験施設はね」


 そこから一つ溜めて、玖珂は楽しそうに言う。

 それは、ノエル達被害者にとってはとても納得出来ない実験目的だった。そんなことの為に自分達の命が弄ばれたのかと、そう言わずにはいられないその目的とは、


 ―――人間を改造し、新しい種を創る実験施設だったのだよ。


 人間の改造。

 言葉にすれば簡単なことではあるが、その目的で何が生まれるのかなど、到底考えたくもないことだ。ノエル達はその実験の為に、肉体を酷使され、痛みを感じることすら出来ない状態のまま生殺しにされたのだ。

 桔音はソレを聞いて、少し表情を曇らせる。

 あの実験施設に居たのはノエルのクローン体。しかも数十人という多さだった。

 それはきっとノエルの肉体素質が実験において最適な物だったからと言えるだろう。だからこそ、彼女の肉体を複製し何十体ものクローンを用意した。


 実験の度に彼女らの身体を使い潰して、目的を達成するまでソレを続ける必要があるからだ。


 たった一つの身体を実験に使い駄目でしたでは、次の素体を見つけるまでまた時間を要する。それなら、素質のある実験体を素にそれを量産する方が手っ取り早く効率的だ。


「実際君の肉体は素晴らしかったよ。肉体の変質という実験において、高い柔軟性と適応力を兼ね備えていたからね……おかげで、色々な実験結果を得られたし……有益なものを幾つも作ることが出来た」


 玖珂は語る。


「まず最初に、君のクローン体を使って行った実験は、新たな種族を生み出すことだった……これは大変だったよ、何せ他の種族の肉体や魔獣の体液、薬品投与も数々行って、何百というクローンを使い潰したからね……」


 ノエルという少女を使い、生み出した数々の欲望を。


「おかげで生まれたよ……私の最高傑作――そう、メアリーがね」

「メアリーちゃんが、ノエルちゃんの身体で作られた……?」

「yes、そうだよ桔音君! メアリーはそこの彼女のクローンを使って生まれた新たなる種族、天使族とでも言うべき私の作品だ! 故に、彼女のクローン体がある限りメアリーは幾らでも生み出せる……君が殺したのはその中の一体でしかない」


 驚愕の事実、とでもいうべきだろうか。

 メアリーが玖珂によって作られた存在というのは分かっていたが、それがまさかノエルを使っての存在とは思わなかった。桔音もその事実に言葉が出ず、ノエルもまたメアリーという存在に対し驚愕の目を向けている。

 クローンがいる限り何体でも生み出せる、ということはあの実験施設にいたクローン達以外にも、この場所でクローンを製造しているのだろう。


 しかし、クローンはあくまでクローンだ。オリジナルの肉体と全く同一というわけでもないだろう。そこにはほんの僅かでも違いが生まれる筈。

 ならば、クローンからクローンを作るにも限界があるだ。桔音はそう考えた。


「……ノエルちゃんのオリジナル」

「ほう?」

「クローンからクローンを生み出すにも限界があるだろう? なら、彼女の本物の肉体はまだ君の手元にあるってことじゃないのかな?」

「Excellent‼ 流石、頭の回転が良いじゃないか桔音君……その通り、彼女の本物の肉体は此処にある」


 予想通り。だがしかし、玖珂がその肉体に対し何もしていないなんてことは想像出来なかった。

 クローンを生み出し、日記の様な実験を繰り返していたのなら――ノエルの肉体は既にボロボロの筈。


「そこで、次の実験だ――」


 玖珂は続ける。


「クローンはメアリーという傑作を生んでくれた……ならば、本物の肉体ならばどれ程の物が生み出せるかな? 私はそう考えた」

「つまり……ノエルちゃんの肉体で創ったわけだな? 何か別の存在を」

「great! その通りだ! 彼女は本当に素晴らしい素材だった、何せそれが我々の始まりを告げる福音だったのだから!!」


 桔音は眉を顰める……『我々の始まり』――つまり、エルフリーデ達序列組の誕生に何か関わっているということか、そう思った。

 そしてその時、桔音の頭にはふと一つの懸念が過ぎる。

 それは、ステラに関することだった。


 大魔法使いアシュリーの言葉、ステラの神葬武装『神葬ノ雷(ブリューナク)』は、特殊体質によって生まれる固有魔法だということ。


 ルークスハイド王国という名前を聞いた時のステラの反応。

 ステラの記憶が幼い頃から唐突に始まっていること。

 そしてそのステラが、玖珂の手先であり――序列第二位『使徒』であること。


 それらが思い浮かび、桔音が予想したのは――……


「もしかして……ステラちゃんも、君が創ったのかな?」


 桔音はぽつり、そう漏らした。


「ハハハハ! まさかその答えに辿り着くとは思わなかったよ……いやはや予想外だ」


 桔音としては、その予想はそれ程高い可能性で当たっているとは思っていなかった。

 それはそうだろう、アシュリーの言では彼女のような特殊体質は生まれつき持っていることもあると言っていた。ステラがルークスハイド王国に反応したのも、玖珂の実験を見ていたからという理由でも納得がいく。

 ならば、ステラの存在が『使徒』として確立したのも、なにか別の理由があった可能性の方が高いではないか。


 しかし、違った――玖珂は心底愉快という表情で語る。


「そう――そうそうそうその通り!! 君の本当の肉体は今、使徒(ステラ)という形でそこに立っている!!」

『……まさか、そんな』

「だが――驚くことはそれだけじゃない、確かに君の身体は私の想像を超える形で一つの進化を遂げたよ。そう、『使徒』という形でね……もう君の魂はなく、肉体だけが生かされていただけのに……もっと言えば四肢欠損や腐敗などもあった身体にも拘らず、だ……何故かな?」

「……どういうことかな」


 桔音の問いかけに、玖珂はまたも笑みを噛み殺す。


「死んだ者は生き返らない……それは君たちも良く知っているだろう? じゃあ、如何に肉体が使徒のものに変貌したとしても、そこに魂はない……故に――」

『何をしたの……私の身体に何をしたの!?』

「簡単さ、命がないなら持ってくればいい――命ある別の素材をね」

『!?』


 玖珂は得意げに両手を広げ、こう続けた。


「君達は知っているかな? 我々異世界人は、この世界の人間とは魂の質が違うということを」


 それは、かつて桔音を発見し勇者と間違えた魔王も知っていた事。


「私も異世界人だ。だから私の他にも異世界人がこの世界に来る事だってあり得ない話じゃないだろう? だから探した、この世界にいる私以外の異世界人を――そして見つけたよ、私以外の異世界人をね」

「……それがメティスちゃん達か」

「そう! 私はその中でもこの世界に来て間もない者を騙して、実験に掛けた……そう、異世界人という最高にレアな素材を君の肉体と混ぜた!」


 その事実に、桔音とノエルは驚愕を禁じ得ない。


「君の肉体に、異世界の人間の魂を分離して融合させたのさ……結果、君の肉体は本来拒絶反応を起こしてもおかしくない融合に見事適応し、私の想像を超えた! 『使徒』という形で! 肉体には魂の力が影響する――私の手で生かされていただけの君の肉体は、異世界の魂に適応する為にその身を変質させ、『使徒』という形で異世界の魂の器に成ったのだよ!!」

『じゃあ……そこに居る子の身体が、私の……身体ってこと……?』

「yes! 『使徒』として君の身体は甦り、元の異世界人の少女とも、君とも違う人格で生まれ変わった――しかも、面白い副産物として固有魔法なんてものまで付いてきた……感動が止まらなかったよ」


 桔音もノエルも、玖珂の語る真実に対し何も言葉が出なかった。しかもその事実は、ステラ本人も聞かされていなかったのか、彼女も少なからず驚いている。

 玖珂だけが、この場において楽しそうに、愉快そうに笑っている。


 本物の狂気の科学者マッドサイエンティストの姿は、この場に居る者の表情を歪ませた。


 まさか、ノエルの肉体からステラやメアリーという存在が生まれていたなど、誰も想像出来なかっただろう。もっと言えば、異世界人が一人犠牲になっている。死んではいない、その異世界人の魂はまだステラという存在として生きているのだから。

 だが、問題はその悲劇の中心足るノエルが、幽霊という形で未だ存在していること、そしてこの悲惨な事実を目の当たりにしたことだ。


『そんな…………酷い……』


 ノエルは目を見開いて、その肩を震わせる。幽霊となって失われた生前の記憶、その真実にただ、そんな言葉が漏れた。

 悲しみよりも、絶望の方が大きい。自分の肉体がこんなにも酷い形で使われていたなんて、想像もしなかっただろう。知りたくもなかった事実だ。


 しかしそんなノエルに、玖珂は愉快な表情で告げる。


「だがこれが真実―――桔音君を苦しめてきた我々を生み出したのは、君のせいと言っても良いね」


お待たせして本当に申し訳ありません!数々の応援ありがとうございます!

復活しました! またここから完結まで頑張りたいと思います!

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