タイムリミットは光の矢のよう
猫に転生し…いや…猫じゃニャい なんかそこらの猛獣(ネコ科)に転生し、はや1ヶ月がたとうとしていた。獣人化できたかと言うと…全然できた気がしないが。
今ここで起きている問題を話してもよ良いだろうか。おれのご主人様の月収をとうとうおれの食費が超えてしまったのだ。いや…正確にはこえる予定である。
というわけで…おれは今朝から働きに出されることになった。おれは食用のはずなんだけど…。
『…だいじょうぶ…こねっこなら…やれる、はず…たぶんだけど…』
ご主人様が信じて家で待っている。どうせ仕事で無理して(アホの子だから)気絶…最低でも玄関でひっくり返っているだろう。回収しに定時帰宅しなくてはならない。
食用のおれといえばそう…剣闘士が闘うスタジアムに出張にきている。おれはもちろん食用要因。
対戦相手はウルフとかなんかそこらの凄い猛獣である。牙が鋭く強そうであるが、なにせ小さい。
おれは昨日夜寝て起きたらニャンとレの成果なのか像のような大きさになっていた。
これでチェンソー(?)で武装したご主人様にも負けることはないと思うが…。なにせごはんが足りなくて今にも死にそうだ。
今なら城門を蹴破って外に脱出できるのはいとも容易いかもしれない。だが次気になって来るのは修繕費である。
おれのご主人様にローンを払わせディボ払いメイドにさせるわけにも行かぬ。
だから不本意ではあるものの街の中で身を売って稼がねばならないようである。
ご主人様の朝の出勤時間がせまっているので、おれ急ぐ。
『こねっこ…おて…これでどうですか?』
「いや〜しかしこのような国家を滅ぼすような猛獣を飼っていて危機管理がなっていないといいますか…服従印はどこに?」
『…こねっこは…いつも私に服従させている…添い寝とかさせて…』
「ヤバいやつだ。命知らずにも程があるだろ。コホンッ失礼しました。えぇ〜ここまでどうやってお越しになったので?」
『…上に乗って?』
「・・・。」
『・・・?』
「コホンッ。街中の死者の数を確認してくれ。えぇ〜失礼しました。ではここに名前を書いて下さいね〜。」
〜〜〜こねっこ〜〜〜
「あの〜出場者の本名でお願いします。え?これ本名です? なんかの間違いって言うのはないですよね。ですよね〜。あ、すみません。え?死者0人だって?」
『…当然!…こねっこは人を襲わない…』
「・・・。」
うちのご主人様がすみません…これ別にあなた様方をおちょくってるわけでなくて、これで信じられないことに正常というか…。
ご主人様はつれないお方なのでおれは放り出されるようにリングへとむかった。
観客は大盛りあがり。今日1日でおれにはなんて美味しそうなネコ科の魔獣(#*#*#*#*これおれはなぜか聞き取れなくてしゃべれないんだよね。だからこれからもおれは自称魔獣ネコでいこうと思う。)としていっきにスター選手の1角となった。
なんとも泥臭く手に汗握る戦いがみんなの心をつかんだらしい。
本来ならおれレベルの魔獣になると高レベルの魔法が使えるらしい。【氷属性】【雷属性】【嵐属性】系統の固有スキルが発現するらしいんだけど、おれが命の危険を感じて(多分チェンソーのとき)発現したのが【物理耐性】ふかふかの毛並み(衝撃にとても強い)(現象や概念系統にも干渉(攻撃できる))【森羅万象の鋭爪】だったらしい。
なんとも育成失敗してしまった魔獣ネコである。だが…そこらの魔獣に負けるほど弱くはないので、なぜか接戦のうえに辛勝した。
魔獣たちを殺さなかったのでレベルアップもない。そもそもレベルアップという設定さてある世界なのかも分からぬ。だから無駄な殺生はしないことにしたのだ。
ボロボロになりながらも、おれはなぜか朝受け付けにいたお姉さんから〝私は人をかみません〝と書かれたネームプレートを首にかけられ家に一人で帰らされた。
『…こねっこ…家にいてくれない…こねっこシック…』
やはり、な。家には予定通りご主人様が部屋着に着替え玄関先でひっくり返っていた。
いや…1回部屋入ってるんだから、わざわざ玄関まで戻ってきて倒れているんじゃないよってことなんだが。
『…こねっこ…私に会いたかったんだ…ふふっ…仕方がない…』
おれの尻尾にしがみついたご主人様を引きずっておれはベットに送り届けに行ったのだった。
だってしょうがないだろ? おれが咥えて連れて行こうにもしっぽに頭埋めて微動だにしないのだから。