川で寝るってことその代償
川で眠ってたのですが。なぜか増水でおれたちは流されてしまってました。いやこれどういうこと? なに? 怖すぎるんだが!!!
これはあれだ。多分だけど・・・。昨日おれが山で寝るか谷底の涼しいところで寝るかの選択をミスってしまったことに原因がありそうだ。
『…こねっこ…これヤバい? ごめんね…寝過ごしてしまった。』
だいじょうぶだよ!おれもなので!
『つい、うっかり熟睡していた…』
気にしないで!下に同じくです!耳が痛いよ!
岩とか土砂崩れとかがめっちゃおれにぶつかってたみたいなんだけど!熟睡していてまったく気付かなかった!いや・・・。もう正直に認めても良いのかもしれない。
気付けなかったんだ。毛皮が分厚すぎて。まったく思いもよらないところに弊害があったものだ。
ゴオオオオオドオオオオンッ!!!!!!!!
土砂がさらにそこら中から降ってくる。やべえぞこれは。さすがのおれでも助からないかもしれない。背中のテントがひしゃげた音がした。
『…わ、私はなんとか無事だから…』
ごめん。おれが油断したせいで。まさかこんなピンチになるなんて。
そう言えば思い出せば地球は○○日に滅ぶとかノストラ〇ムスの予言とかが何度もあった。でもいつも思っていた。そう何度も天変地異や地球が滅んでたまるか、と。
あれは油断するなとの警告だったのかもしれない。下らないこんな所でそんなことを考えるなんて!
ガルアアアアアアア!
おれの声が谷底に響き渡る。土砂の崩れ落ちる音にも負けずに血が煮えたぎるようだ。ああ。おれは魔獣だこの土砂崩れごとき。
足に渾身の力を込め崩れ落ちる石をかき分け、しがみついているご主人様を振り落とさないよう加減しながら谷底から上を目指した。
ひとっとびで強い魔獣なら空中を駆けるように移動できるのかもしれない。物語なら・・・。なんとも容易く英雄ムーブができるのかもしれない。だが現実はこのありさまだ。
筋肉がきしむ音がし何度も限界を感じる。おれは、こんな所では死ねない。まだ獣人にすらなれていないのだ。目標は人間に戻ること。なれるならとびきりのイケメンになろう。だから死ねない。
煩悩が身体に力を漲らせ、おれは気が遠くなるような一瞬をつなげながら試練をのりこえた。
土煙を抜けた先には青空がひらがっていた。どこまでも突き抜けるような青さがおれに生の実感を与えてくれた。ああ・・・。おれは生き残れたのか。
この【試練】はおれのニャン生に大きな転換点となる。なぜって?
『…こねっこ…おめで、とう…とうとうやり遂げた、ね…』
気づけばおれは青いエメラルドグリーンのやわらかな光に包まれ変身しはじめていた。
「バ、バカな!なにが、おこったんだ? いや・・・。身体が縮んでいる?おれはまさか・・・。」
拝啓:前世のおれよ 猫に転生してニャントレを続けていたらショタになってたんだが?
読んでくれてありがとう♪