街を脱出することに
追われているわけではニャい。だが・・・。傷心中のご主人様を屋敷にそのままってわけにはいかないので・・・。
おれたちは傷心旅行へ出かけることにした。意外と近所では人気のあったおれだが、門番にモンスターと思われる攻撃されてしまう。いやっ!? やめてくれ!
「なんでこの町中にモンスターが!? 槍持ってこい槍!」
「殺せ~~~~~!」
痛いっ! 矢で目を狙わないで! なんてやつらだ。おれが優しくしてるとつけあがったようだ。だがな目を狙うのなら容赦はせんぞ!おれの狂犬のご主人様をチェンソー持たせてけしかけてやる!
「ガルルルルッ」
ご主人様やっちゃって下さい!おれはここで暴力をふるう訳には!城壁の修繕費請求されたりしたらヤバいので!
『・・・。』
ダメそうだ!ご主人様はどうやらまだ復活には早かったようだ。じゃあもうここには用はない。さらばだ!おれは城壁をひと蹴りする。クレーターのような爪痕を残しおれたちは街の外へと飛び出した。
防御特化のこの毛皮があれば着地は余裕かと思っていたが、どうやら猫科の反射神経が自動で地面を認識してくれたらしい。
ズドォォォン。よし今の音は聞こえなかったことにしてくれ。肉球のあとで水たまりになっていそうな砂利道をあとにしあれたちは前に進んだ。
『…こねっこ…ここどこ!?…』
さあ、ね。おれはこんななりなので情報収集が一欠けらもできていないのだ。だが目的地はある。
はるか南国の地【ハルカキタ】である。そこならご主人様の療養におすすめの地だとメイド長から聞いたのだ。
『…そういえば…メイド長が昨日なんか言っていた気がする…』
その通りだ。おれはこの晴天のもと新たな旅立ちを迎えたのである。
『…ふう…外は暑いね…』
そうだねと言いたいところだが。確かに日よけテントの中は涼しそうである。おれがとっさの機転をきかして(我ながらよく頑張った)小型テントみたいなものを特注で作ってもらいおれの背中に乗るメイドのためにさっそく使ってもらい中でお昼寝させておいたのだ。
まさに、至れり尽くせりではないだろうか。
まあおれの本音としてはもう檻の中が窮屈すぎてもう街に住みたくないってのがあるのだが。まあこの際その獣人を目指すという件も忘れて頂きたいというか、まあそんなところである。
『…こねっこは…早く獣人にならないと、ね…』
いや~そんなに都合よくはいかないか。チキショウ。バッチリ覚えていたようである。
『…そうじゃないと…私が他のひとのものになっちゃう、よ?』
なんだって!? あざと可愛いすぎる。おれのご主人様がそんなことできたなんて。ちょっとショックであると同時になんか嬉しい。
おれは何度目か知らないがニャントレを頑張ると誓ったのだった。
読んでくれてありがとう♪