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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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宇宙戦艦ウィガニス


 地獄の井戸ではロキによるウィガン討伐のチーム編成が行われようとしていた。

 

「はい、というわけでこれから『ウィガニス』って宇宙戦艦に転移して、ウィガンってバカを討伐するわけなんですけれども、この宇宙戦艦っていうのがとにかくデカいらしい。全長が5kmあるんだそうだ」


「はい、ロキ様。5kmというとどのくらいの大きさでしょうか?」

 アイーシャが手を上げて質問した。


「アイちゃんいい質問だ。5kmと言っても、こちらの世界では使われていない単位なので、実際の映像で見て頂きます」


 ウィンッ

 

 ロキが大画面を出現させ、次元の書を通し、現在の宇宙戦艦『ウィガニス』の姿を映し出した。


「……」

 そこにいる全員が言葉を失った。想像していたような海に浮かぶ戦艦とは程遠い、超文明が生み出した化け物と言った方が近い見た目をしている。

太陽の光を受けて黒光りする船体、上下左右に展開する巨大な構造物は何の役割を果たしているのかさえ不明だ。所々に光る照明は、それが確かに人工物であることを表し、一層不気味に見える。


「デカすぎて、どこに何があるのかさっぱりだな……主砲は多分ここで、ブリッジはどこなんだ?」

 ロキは巨大な姿を眺めて、さして驚く様子もなく位置の把握をしようとしている。


「ロキよ、この化け物は一体どこに浮かんでおるのだ?」

 レイスが質問する。彼らに宇宙空間と言う知識はない。この星こそが彼らの世界の全てと言っていい。


「んー、夜は月、昼は太陽があるでしょ」


「うむ、空に浮かぶ星だな?」


「そうそう、簡単に言うと昼間の眩しい太陽の裏側にいるわけ。だから今、太陽を見上げても見えない。と言うか、次元が違うからここから見上げても見えるわけないんだけど、それは説明めんどいから省きます!」


 異世界の魔王ロックが話に割り込む。

「つまり、太陽を破壊してこの星を含む恒星系をぶっ壊そうって野郎があのデカブツにいるわけだな?」


 ロキは指をパチンと鳴らして指差しながら、

「お? ロックくん、いいねぇ。恒星系わかるんだ」


「ロックの世界の科学水準は宇宙に衛星飛ばすくらいには高いよ」

 首チョンパ状態のハッシュが顔をボコボコに腫らしながら補足した。


「ほほう、それは興味深い! 一度訪れたいねぇ。アイちゃん?」


「いやロキ様、今はそれどころじゃないでしょう?」


 ハッシュが続ける。

「そのウィガニスは中に高層ビルが建ち並ぶ居住区域もあるらしいよ?僕は行ったことないけどね」


「と、もうすぐ消滅する気持ちの悪い首の置物が偉そうに言っております」

 ロキはハッシュがどれほど有用な情報を与えようと許すつもりは無いようだ。


「酷い言い方するなぁ……」


「ハッシュ、俺を雑魚呼ばわりしたお前が無惨な姿に成り果てたな……」

 レイスがハッシュを憐れんだ表情で見る。


「ちぇっ、前に言ったじゃん、ロキは僕なんかより強くて怖いんだって」


「そうだな、相対評価で良くわかったわ」


 その時、ハッシュが遠くウィガニスに見知った気配を捉えた。

「あ、ロキ? 今、ローズマリーがウィガニスに戻ったよ!ローズマリーの気配を追えばウィガンに辿り着けると思う」

 一緒のはずのオヤマダに変身したユーベは見事に気配を消しており、ハッシュにもその存在を悟られる事はなかった。


「それじゃあ、組み分けしようか。ウィガン討伐班、ブリッジ強襲班、あとはその居住区で暴れる班かな。レイスのチームはそれで全員だよね?」


「いや、まだいる。ゴーズとミニゴーレムたち出てこい!」


 氷の壁の一部がガラガラと崩れて地殻喰らいのゴーズがその巨体を現す。

 

 ズゴゴォーーン!!

 

「え、デカっ、エグッ」

 ロキがその巨体に驚く。


「あのロキ様、その怪物、伝説級の巨大モグラです……」

 アイーシャは次から次へと現れる伝説級の怪物にドン引きながら言った。


「へぇ、レイス。凄いじゃん、なんで教えてくれないのよ」


「ふふふ、凄いだろう?」

 褒められて嬉しそうなレイス。

「しかし、驚くのはまだ早い!」


 ゴーズに続いて数百体のミニゴーレムたちが次々と崩れた壁からピョンピョンと降りて来る。

 

「えーーっ、何この子たち可愛い!」

 アイーシャはその愛らしい姿にときめいた。しかし、そのトキメキは一瞬で終わった。数百体のミニゴーレムが次々と合体し、体高30mを超える巨大ゴーレムと化した。


「どうだ、ロキ。これが我らパーティの全容だ」


「おぅ……ごめん、一回それ解体してもらって良いかな?」

(こいつら全員連れてってウィガニス壊れないかな?)

 ロキは巨大戦艦が壊れて宇宙に投げ出されないか心配になった。

 

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