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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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別居中の妻


 ロキ邸格納庫。


 黒龍の口から飛び出した隠し妻スキャンダルに衝撃を受けているロキとアイーシャ。気不味そうに頭を掻く黒龍。


「黒龍、お前に言いたい事がある」

 ロキが真面目な顔で黒龍に言った。


「何だ?」

 黒龍も真剣に返す。


「お前、結婚してるのに、堂々とアイちゃんと混浴していたよな?あまつさえ身体まで洗ってもらう図々しさだ」

 黒龍は基本、露天風呂には格納庫から好きなタイミングで入りにくる。アイーシャが黒龍の身体をブラシで洗ってやる為に誘うこともある。


「いやいや待て、ロキ。俺は龍だぞ?人間やエルフの女体に興味がある訳なかろう?」


 理屈では分かるが、今や二足歩行で人の言葉を話している。見た目はアレだが、ロキは疑いの目で聞いた。

「全然か?」


「あぁ、まったく」

 断言する黒龍。


 そのやり取りを黙って聞いていたアイーシャ、

「それはそれで失礼だと思うの、黒龍ちゃん」


「アイーシャ、俺を困らせるな……」


「うふふ、冗談よ。でも、お話出来るとなったら何が恥ずかしくなってきたから混浴はお預けだね!」


「龍の姿でもか?」

 黒龍はアイーシャに露天風呂でブラッシングしてもらうのが至福の時間となっている。お預けとなったら残念でならない。


「当たり前やろがい!龍ならアイちゃんと混浴出来るなら俺だって変身してだなぁ……」


「ところでロキ様、ずっとお風呂の話をするつもりです?」


 ロキは仕方なく話を戻す。

「んで?カミさんと何かあったのか?」


「うむ、我らは中央山脈で最も標高が高い山の頂上に居を構えていたのだが……俺がエルフの里に通っているのがバレてな。聖大樹の加護を受けて帰ったら大喧嘩になった」

 2年程前のロキとアイーシャ、そして黒龍が初めて出会った時の話だ。その頃、黒龍は満月の度にエルフの里アルファインに足繁く通っていた。


 それを聞いてロキが吹き出す。

「ぷぷっ、キャバクラ通いがバレたみたいな話だな、面白過ぎるぞ」


「そう言えば、山の民の間では中央山脈で天気が荒れると龍の大喧嘩って言うらしいよね」

 アイーシャは山の民の比喩だと思っていたのだが。


「まさか本当に大喧嘩してるとはな……」


「アイツは気が荒いとこがある。そしてひどいヤキモチ焼きだ。すぐに氷結ブレスを撃ってくる。それを俺が熱線で対抗するから気候が荒れるのだ」


「ぷぷっ、迷惑な夫婦喧嘩しやがって……。で?今は別居中だと」


「そうだ、地獄の井戸はアイツの実家だからな」


「龍に実家があるんか……良し、事情はわかった!じゃあ早速だけど2人で行ってらっしゃい!」


「ロキ、俺の話を聞いてたか?エルフのアイーシャとアイツの前にのこのこ現れたらどうなるかわからんぞ?」


「それがいいんじゃん。歴史に残る夫婦喧嘩始めたら、きっとハッシュが顔を見せるさ」


「……顔合わせるの嫌だな……」

 ビビる伝説の龍。


「ロキ様、私、生きて帰る自信がないんですけど……」

 ビビるエルフ最強の魔剣士。


「大丈夫、黒龍が守ってくれるよ。それを見てまたカミさんが怒る、恐ろしいぜ」

 ワクワクするロキ。


 ロキは2人を地獄の井戸に転移させるべく、巨大な魔法陣を設置した。


「あ、黒龍、スーパー黒龍のまんまでカミさんわかる?誰だお前はってならない?」


「それは大丈夫だ、アイツも第二形態になれる」


「エグい夫婦だなぁ……」


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