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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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妻帯者が一頭


 ロキ邸格納庫。

スーパー黒龍の巨大な頭が徐々に姿を現す。


 「こ、こ、黒龍……パイセン……さーせん、遅くなって……」

 ロキは思わず尻もちをついて、部活の後輩の様に謝った。


「冗談だ、ロキ。別に怒ってなどいない」

 スーパー黒龍の凶悪な顔からは笑っているのか怒っているのか、表情が読み取れない。

 

 ロキは尻もちから胡座をかいて文句を言った。

「ちぇっ脅かしやがって!こちとら急いでるんだ、さっさと上がって来てくれ!」


 黒龍は巨大な体躯をゆっくりと格納庫に入れながら不満げに、

「随分と偉そうだな、ここで立場を明確にしておくが、俺はアイーシャがお前に従っているから、戦いを共にしているが、アイーシャを泣かせるような事があればいつでも……」


「聞き捨てならねぇな、おい黒龍。俺がいつアイちゃんを泣かせたって言うんだ!」


「ふ〜〜ん、自覚が無いんですねぇ……」

 アイーシャが黒龍に続いて姿を見せる。


「あれれ?アイちゃん、奇遇だねぇ。まぁ入って入って、ほら、打ち合わせしなきゃだから」


「はいはい」

 アイーシャはいつもの調子のロキに呆れながらも、気持ち安心しながら格納庫に入った。

 

「それにしてもスーパー黒龍パイセン、随分と喋れるようになったねぇ」


「露天風呂で海賊共と楽しく話していたら、慣れた」

 マッサージを受けながら、お喋りな海賊共と会話を存分に楽しんだようだ。


「あっ!海賊の露天風呂の日!……キリがないから後でいいや」


(まだ後で何かあんのかよ……)


 ロキは格納庫の扉を閉め、庫内の照明を薄暗くした。

壁面に備えてあるスクリーンを下ろし、PCの画面を映し出した。

「えーと、先ずはスクリーンをご覧下さい。王都の絵師に描いてもらった大陸の地図ですけれどもぉ」


「はい!」

 手を上げるアイーシャ。


「はい、アイーシャくん」

 いつの間にか持っている指し棒でアイーシャを指す。


「何でいつもみたいに自慢げに大画面を出さないんですかっ?」


「自慢げ……良い質問だね、今我々はあのハッシュって言う青髪のチャラ男を追っています。だが、今回の事情を知っていると思われるハッシュは俺を避けて、ひっそりとこちらの様子を伺っているんだね。だから次元の書を使う術は気付かれやすいので使わない様にしているんです。はい、ここテスト出るよーー」


 二足歩行で立っていると頭がぶつかるので座って胡座をかいている黒龍が、

「おいロキ」


「はい、スーパー黒龍くん」


「その先生風の話し方、面白くないぞ」


「先に言われたぁ!」

 突っ込もうとウズウズしていたアイーシャが悔しがった。


「きっつ……。でな?アイツを誘き寄せたいんだが、今、レイスが深いダンジョンに潜っている。何処かと言うと……位置的に山脈の向こうにある此処だ」


「えーと……地獄の井戸?知ってる?黒龍」


「う、うむ……知っている」

 気まずそうに答える黒龍。


「オッケー、じゃあ丁度いいや。俺が同行する訳に行かないから、2人で行って大騒ぎしてもらえる?あぁ、レイス達を殺しちゃ駄目よ?和平してるんだから」


「じゃあ、何したら良いんですか?」


「んー、先にダンジョン攻略しちゃうとか?深いとこに強烈なのが居るけど、スーパー黒龍パイセンとアイちゃんなら余裕っしょ?」


「う、うむ……そうだな」


「何かさっきから歯切れ悪いなぁ、黒龍。なんかあるんか?このダンジョン」


「実は……そこなぁ、白龍というのが居るんだが……」


「あっ、聞いた事ある!黒龍と双璧の龍って言われてるよね?うちの里でも有名だよ」

 アイーシャは対峙するかもしれないのに、ワクワクしている様だ。


「うむ、その白龍だが、実は我らは……つがい、夫婦なのだ」


「ええーー!こ、黒龍お前……カミさん居たんか……」


「私の可愛い黒龍ちゃんが妻帯者だったなんて……」


 スーパー黒龍は頭をかいた……。

 

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