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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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オヤマダザワールドレストランビルヂング


 オヤマダタワー55、1階ロビーに降りた4人。


 時刻はもう夜9時を回っているのに人影が多い。

「ここも幽霊が多いなぁ。居心地が良いんだろうな」


 舞子には数人の帰宅する社員しか見えない。

「えー、ウチのビル幽霊だらけじゃないですか」


 ドン引き舞子にロキが安心させようと、

「厳密に言うと、何処も幽霊だらけだ。でも、舞子君は先祖の身なりの良いお婆さんが怖い顔で守護してるから大丈夫だよ。父方の高祖母だってさ」

 勅使河原舞子、何気に家柄が良いらしい。


「怖っ!冗談はやめて下さいよ、ロキ様」

 高祖母を背中に背負いながら舞子が怖かった。


「ロキ様、私の守護霊はどうですか?」

 オヤマダがワクワクしながら尋ねる。


「悪いオヤマダ、最初会った頃は立派な紳士が付いてたんだけど、俺とオヤマダが話してるうちに空に登って消えちまった……」


「さよなら、立派な紳士……」


「オヤマダ社長、焼肉屋さんはどちらですか?早く食べて聖大樹様に会いに行かないと……」

 アイーシャが乞う様に急かす。


「大丈夫、すぐ着きますから」


 オヤマダタワーから程近い飲食ビルに着いた。

 

 オヤマダザワールドレストランビルヂング

 1F 蕎麦処小山田

 2F BeneOyamadaイタリアン

 3F CuisineOyamadaフレンチ

 4F 小山田飯店(中華料理)

 5F 和牛焼肉小山田

 6F ステーキ&ハンバーガーハウスオヤマダ


 そのフロア案内を見て、ロキは呆れ半分で言った。

「オヤマダは何でもやってるんだな……」


「恐縮ですぅ……これと同じ構成のビルが都内に計5ヶ所御座いますー、はい」


「あっちにも作ってくれよ。オヤマダセット」


「しかし、あちらにはあちらの食文化がありますから、壊さない様に慎重にやりませんと……」

 ズール、と言うよりあちらの世界の食文化はこちらと比べ遅れている。こちらの食を持っていけば、復興途中の外食産業を駆逐しかねない。


「成る程、ちゃんと考えてるんだな」


 4Fの和牛焼肉小山田に着いた。


 タキシード姿のベテランマネージャーが出迎える。

「いらっしゃいませ。社長、個室の用意出来ております」


「有難う有難う、ご苦労様〜」


 ここは高級焼肉店、店内は老若男女の裕福そうな客で賑わっている。

店の奥、広々とした個室に案内された4人。

「さてと、みなさん飲み物は……」


「とりあえずビー……痛っ!わかったよ、ウーロン茶で……」

 アイーシャに肘鉄され、ロキはビールにありつけなかった。


「アイさんはどうします?」

 

「私はオレンジジュースで……ありがとう」

 

 オヤマダは寂しそうにその様子を眺めて、

「残念ですなぁ、今日はゆっくり飲んで騒いでカラオケでもと思ったんですが……とりあえず、こちらでどんどん注文しちゃいますね!」


 アイーシャが折角用意してくれた晩餐を早めに切り上げなければならない事に謝罪しつつ、

「オヤマダ社長、本当に申し訳ないんですけど、程々の量にして下さい。ロキ様、お腹一杯になると眠くなっちゃうんで……」


 それを聞いてロキがムッとして突っ込む。

「子供かッ!」


 間髪入れずにアイーシャ、

「いつも子供みたいでしょう!」


 来日初日の食事は、本当に程々の量で終わった。ロキは会話もそこそこに、出来るだけ食べられるだけ食べた。

肉が絶品だっただけに、ロキは悔しさで一杯だった。何よりライスを頼もうとしたらアイーシャに止められたのが悔しい。

 

「めちゃくちゃ美味かった!滞在中に絶対にまた来るから!ご馳走様ー!」

 店のマネージャーに宣言して店を出た。


「くそ〜、ライス……」

 まだ悔しい。焼肉は白飯にタレをポンポンと乗せ、一緒にかき込むのが醍醐味だ。


「まぁまぁ、またいつでも来れますからロキ様……。今日は観念して部屋に戻りましょう」


「あぁ、でもなんか……ちょっと眠くなってきたかも」

 目を擦るロキ。


「……」

 アイーシャは、もう怒ることもせずにスタスタ歩いて行く。しかし、背中が怒りを表していた。


「冗談だよ、冗談。アイちゃん、怒んなって!」

 ロキは小走りで追いかけてなだめる。


「勅使河原君、ロキ様あれわざと怒らせてる?それとも天然?」


「一連のやり取りを見た結果ですけど、天然っすねアレ……」

 

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