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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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聖大樹は何処


「さぁ、気を取り直してお部屋にご案内しますよぉー!我がオヤマダタワー55が誇る貴賓室、最上階ペントハウスにぃ〜!」


 4人は一度社長室に戻り、荷物を持ちオフィスを出てエレベーターホールに来た。


 エレベーターホールは高級ホテルと遜色ない設えになっている。美しい装飾、丁度良い踏み心地の絨毯。

エレベーターに向かって右側に向かうと通路があり、途中にホテルマン姿の男性と女性が2人待機している。警備とサービスを兼ねた役割があるらしい。


「いらっしゃいませ、ロキシュタイン様。荷物をお持ちします」

 サービス担当が丁寧に挨拶し、ロキの荷物を受け取る。


「あぁ、有難う」


「奥様もどうぞ」

 女性のサービス担当が荷物を受け取ろうとする。


「ひっ、お、奥様……わ、私は自分で持てますから」

 アイーシャは顔を赤らめながら、荷物を渡す事は遠慮した。


「良いから、アイちゃん荷物を渡して。彼らの仕事だから」

 ロキはスンとすまして言う。一応、王族風の演技をしている。背筋を伸ばし、いつものダラダラした感じはない。


 その感じにカチンときたアイーシャ、

「ふんっ、ばかのくせに偉そうに」


(まだ怒ってる……でもアイさんのプンスカ可愛いんだよなぁ)

 舞子は心の中でイイねを押した。


「こちらへどうぞ」

 長い廊下を歩いて行った突き当たりに大きなえんじ色の華美な扉がある。担当者がカードキーをあてると両側に開く自動ドアとなっていた。


「ささ、入りましょう」

 オヤマダの案内で部屋に入り、通路を抜けるとそこは広いリビングルームとなっていた。夜景を見渡せるガラス張りの壁面、モダンな家具類、バーカウターには多種多様な酒類。その横にはグランドピアノ。


「うわぁ、素敵、ガラス張りだぁ!いいんですか?こんな素敵な部屋に泊まって……」

 アイーシャはオヤマダを振り返った。その表情は先程までのプンスカは消え、とても嬉しそうだ。


「はい、勿論お2人はVIPですから、国賓待遇で御座います……」

 アイーシャの嬉しそうな表情を見てオヤマダも嬉しそうにニコニコした。


「オヤマダ、悪いけど今日本円がないから彼らに」

 

 オヤマダがサービス担当にチップを渡しながら、敢えて小声で、

「いいかい?この方達は極秘の来日だから、ここで見た事、聞いた事は一切口外厳禁だよ?ま、信用して君たちを選んでるんだけどね!」


「勿論です、小山田社長。命懸けでお守り致します!」

 男性のサービス担当が姿勢を正して言う。


「あ、守るのはいいや、2人とも奇想天外、古今無双、土天海冥な強さだから」


「どってんかいめい……凄くお強いと言う事ですね」

 オヤマダはそれ惑星の覚え方だから!しかも今通用しないから!と突っ込んで欲しかったが相手を間違えた。


「ロキ様、寝室どうしましょう?ベッドルームは6つ、それぞれにバス、トイレ完備ですが」


「1番デカいテレビとベッドがある部屋で!」

 ロキの手荷物は、ノートPC、ゲーム機、ケーブル類、読みかけの漫画雑誌、だけだった。


「ロキ様から1番離れた部屋で!」

 アイーシャはもうプンスカに戻っていた。


(夫婦喧嘩中かぁ……)

 サービス担当は思ったが、表情には一切出さなかった。


 すると、

「オヤマダ、ちょっと聖大樹様の大体の場所だけ確認してくるわ。海の中とかだったら手間だから」

 そう言ってロキが転移魔法陣を出そうとする。


「うわ、ロキ様ちょい待ちプリーズ」

 オヤマダが慌てて止める。

「君達、後は私が案内するからもう戻って良いよ、ご苦労様!」


「あぁ、そうか、見せられないか……」

 サービス担当が部屋から追い出されるのを見ながらロキが言う。さすがに事情を知らない一般人に魔法の類は見せられない。

 

「見せられないかって魔法陣出せるんですか?」

 アイーシャが怪訝な顔で聞く。


「うん、出せるよ?次元の書使わないし。次元移動しないなら何処でもドアさ」


「へぇ……何だ……」

 アイーシャは内心喜んだが、スンスンしてみせた。


「じゃ、ちょっくら失礼して……えーと?んー……一旦この辺りから」

 ロキは鼻をつまんだ。海の中だったら困るからだ。

手慣れた様子で魔法陣を出し、姿を消す。


 暫くして……。

「あっつ!あっちぃわ、あそこ」


「地獄、とかですか?」


「ここに地獄は無いさ、ん、スマホのマップで近くをピン止めして来たよ」

 オヤマダにスマホを渡す。


「あー、ここはアフリカ大陸ですなぁ。中西部のジャングル、未開拓の場所もありますから聖大樹様の様な巨木があっても不思議ではないですよぉ!アイーシャ様」

 オヤマダはアフリカでもレアメタル採掘事業を小山田商事で展開していて詳しい。


「あぁ、確かに気候は違うが、アルファイン大森林並みに緑深い場所だったよ。しかも、時差であっちは昼間だった」

 聖大樹の加護を辿って、幾度か転移をしながら辿り着いた場所は昼間の気温が30度を超える熱帯雨林であった。


「えっ、昼間なら今行けば良いですよね?さぁ、行きましょう、今行きましょう」

 アイーシャはロキの袖を掴んで催促する。とにかく、こちらの世界の聖大樹様にお会いしたい、その一心だった。


 しかし、ロキはその気持ちを知ってか知らずか、

「えー、焼肉食ってからにしようよ。俺、腹ペコなんだよ」


「もう……ばか!」

 

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