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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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呑気なロキと怒れるアイーシャ


 オヤマダタワー55屋上ヘリポート。


「なんか、次元の書が出ない」

 ロキが掌を広げているが、いつものように光る次元の書が現れない。


「えええー!」

 アイーシャ、オヤマダ、舞子、ユニゾンで驚く。


「まぁいいや、オヤマダ腹減らない?晩飯にしようぜ」

 ロキは首を傾げながら、それでも何て事ないかの様に晩御飯を食べようとオヤマダに言う。


「晩飯にしようぜ、じゃないロキ様!次元の書が出なかったら大変じゃないですか?!」

 アイーシャが慌ててヘリポートを降りようとするロキを止める。


「んー、あっちに帰れないとか、魔法陣を待ってる黒龍に怒られるとか、あと、この前みたいなアパッチ軍団出せないとか?あとアリんこ……」

 ロキやハッシュは次元の書によって多次元宇宙を自由に行き来している。こちらには来れたので、先程までは有効だったはずだ。しかし、今となってはその魔法陣も恐らく消えていると思われる。

また、王都防衛戦でロキが創り出したアパッチヘリや大量の軍隊アリも次元の書で創造したものだった。


「いや、大変じゃないですか!アパッチ軍団は置いといて、あっちの世界に帰れないとか、どうするんですか!?」

 ロキの呑気な物言いにアイーシャはイライラして今にも怒りが爆発しそうだ。


「こっちで暮らすとか?オヤマダに預けてる資産もあるし、遊んで暮らせるよ?」


「もう!ロキのばかっ!ばかばかばかっ!かばっ!」


「かばて……」


「里に帰れないじゃないですか!それに怒られるも何も黒龍にだってもう会えないんですよ!?」

 涙を浮かべて呑気なロキに抗議するアイーシャ。ただでさえ暫く里に帰ってないのだ。


 (何か冗談を言って和ませたいが、事は思ったより重大だ。ここは黙ってよう)

 真剣な場面でも、めげずに冗談を言うオヤマダが珍しくわきまえた。


 (アイさんの敬称略のロキ呼び、激アツーと思ったけど、それどころじゃない、アイさん泣きそうになってる……可哀想)

 これはいつものイチャコラでは無い。舞子は悟った。


「まぁまぁ、落ち着きなってアイちゃん。何とかなるから。だってさ、感じない?俺たちを包み込むような……」


 アイーシャはここまで気が付かなかったが、自分とロキを包む緑色のベールが見えた。

「加護……聖大樹様の加護!な、何でこっちの世界で!?」


「勅使河原君、感じるかい?加護」

 小声でオヤマダは舞子に確認する。

「強風しか感じません……」


「君らは受けてないから、聖大樹様の加護。アイちゃん、こっちの世界にも何処かに聖大樹があるって事さ。しかも、それは向こうと繋がってる」


「探しましょう!これからすぐに!」

 アイーシャはロキの袖を引っ張る。


「まぁまぁ、アイーシャ様。今日はもう遅いですから明日にしましょう。今日は美味しい焼肉店を予約してますから」

 オヤマダはアイーシャをなだめた。


「でも、私……帰れるか心配で」


「大丈夫。ロキ様が何とかなるって言っているんですから、オヤマダは100%大丈夫だと思いますよ!」

 アイーシャの心配な気持ちを慮って、オヤマダは少し大袈裟に言って自分の胸をドンと叩いた。


「そうだそうだ!俺に任せろ!」

 と、あくまで呑気なロキだが、内心ではどう対処するか、最悪を想定して考えを巡らせていた。


「ふんっ!ばか!」

 アイーシャはそう言ってロキの袖から手を離した。

 

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