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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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アイーシャの守護獣


「黒龍、わかってくれお前を連れて行く訳にいかないんだ」

 ロキとアイーシャは格納庫の黒龍に2、3日留守にする事を伝えに来た。しかし、彼は激しく咆哮し納得しない。


「どうしましょう、ロキ様」


「んー、黒龍これから行く所は龍が飛んでたら大騒ぎになって多分軍隊が投入される世界なんだ。お前なら戦闘機とやり合っても負けないだろうけど、それはそれで大問題だしな。まぁそう言う事だから我慢してくれ。行くぞ、アイちゃん」


 ロキはさっさと踵を返して行ってしまう。アイーシャは黒龍を見ながらそれに従う。


「ゴォォーーーン!」

 黒龍が辺りの壁や床を振動させるほど激しく咆哮する。


「ロ、ロキ様、あれ!」

 アイーシャが驚き黒龍を指差した。


 ロキが振り向くと、黒龍が金色に光り輝いていた。


「黒龍、まさかオメェ!とうとうスーパーサ……」

 ロキはワクワクしていた。


「ロキ様、そこまで!それ以上は言わせませんよ?」

 アイーシャが調子に乗り始めたロキを止める。


 黒龍は光の中で身体中の鱗がうねり始めた。そして徐々に骨格が変化して龍から人型へと変態した。


「コォォ……コォォ……コォォ……」

 その姿は翼や漆黒の鱗など、黒龍の特徴を残しながら、間違いなく人型、二足歩行可能な様だが、それよりも纏う魔力が格段に上昇し、正に第二形態、スーパー黒龍と呼ぶに相応しい変貌ぶりであった。


「す、すげぇな、オメェそんな姿になれんのかぁ」

 ロキはその姿のカッコ良さに感動して、口調を戻し忘れている。


「黒龍かっこよ……」

 アイーシャはロキの口調に突っ込む事も忘れて惚れ惚れとしている。


「コォ……二足歩行に変態したぞ、これなら……連れて……い、行けるのか?」


「こ、黒龍が喋ったぁ!」

 驚いてユニゾンする2人。


「ど、どうなんだ……?」

 まだスムーズに話せない様だが、その声は低く、辺りに響く不思議な声音をしている。


「ごめん、黒龍無理。そんな10mを超える様な巨人居ないし、見た目がもう、何だろう、魔王より魔王?いや、俺は好きよ?強そうだし、実際強いし」

(つか、レイスに見せたい、すぐにでも)


「で、では誰がアイーシャを守る」

 幼龍の頃、アイーシャに救われた黒龍の彼女に対する忠誠は本能に近いと言えるまでになっていた。


「黒龍……」

 胸に手を合わせ、キュンキュンするアイーシャ。


「そりゃあ俺に任せてくれよ悪いけど」

 俺が居るだろう、誰に言ってるの?とでも言いたげなロキ。

 

「ロ、ロキ、お前に何かあったら?」


「何かあるとでも言いたそうだな?」


「わ、わからん、わからんが、嫌な予感がす、する」


「そうか、心配なんだなアイーシャが。確かに、変なストーカー女が居るらしいから気をつけないとな。この世に絶対は無い、らしいからさ」


 ロキは格納庫に巨大な魔法陣を設置した。


「もし、何かあればお前に知らせる様にオヤマダに言っておく。この魔法陣はオヤマダのビル……城の屋上に繋げとくから駆けつけてくれ。行っておくけど、知らせがあるまで来ちゃダメだぞ?もう、本当にパニックになるから」


「わ、わかった。では……気をつけて……な、アイーシャ」


「ありがとう、黒龍。お土産買ってくるね」

(黒龍のお土産、何がいいんだろう……)

買って来ると言ったは良いものの、何が喜ばれるのか、さっぱり見当がつかないアイーシャだった。

 

 リビングへと戻る道すがら。

「ロキ様、黒龍が存在すら出来ないなんて、あっちの世界は変わってますね」


「んー、まぁオヤマダの住んでる星は可視出来る物しか信じないからな。自分達には見えないけど存在しているものなんて沢山あるって分かっている筈なんだけど……」


「じゃあ、信仰心も無いんですか?」


「それが毎年決まって何処かの神に祈るし、人が死んだら儀式をして墓作ってそれを守るんだ。危機に際して彼らが言う言葉は『神様!お願い!』らしいぞ」


「信じてないものを信じてる……不思議なところ」

 アイーシャにとってはオヤマダの住む世界こそがファンタジーなのだ。


(アイちゃん、君達エルフも信じられてない存在のひとつだよ?)とアイーシャを横目で見ながらロキは思ったが、怒られそうなのでやめた。

 

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