伝説の巨大モグラ
伝説の巨大モグラ
『地獄の井戸』1階層
左右の壁に仕掛けられた鉄の矢の罠、それを破壊しながら突き進むゴーズ。
過去、大陸で忌まわしき厄災として畏れられた地殻喰らいのゴーズ。
彼はただ地殻を喰らい、それを栄養としながら生きていただけであった。
しかし、その巨体が地中を掘る事により、地上では多大な被害となった。大陸の人々は武力でゴーズを討伐しようとしたが、悉く蹴散らされた。彼も黒龍同様、伝説の怪物だったのだ。
ただ習性として穴を掘り続ける怪物。魔王レイスはそれを理解し、彼に相応しい役目を与えた。無論、その背景にはゴーズの力を単騎で止め得るレイスの強さがあってこそだが。
「ズゴゴゴゴォーン!」
ゴーズは止まる気配が無い。物凄い勢いで通路をトンネル状に形を変えて行く。
「あぁ、ゴーズはどこまで行くんだろう?」とカイゼル。
「あの勢いで部屋の前で止まれるのかねぇ」心配そうなウル。
ゴーズは部屋の前で止まるつもりだった。レイスからはそう指示を受けている。しかし、罠は部屋の前まで仕掛けられていて止まる訳に行かない。
「ズギャオーーン!ズギャース!」
何やら叫びながら更にスピードを上げるゴーズ。
レイスに怒られるかもしれない、しかしトンネル担当として譲れないものがある。掘るのだ、皆んなの為に道を切り拓くのだ!
そう思っているかどうか定かではないが結局スピードを緩める事なく、扉を破壊して単独で番人の部屋へ突入してしまった。
「ギャーー!」
「ギャワーー!」
「ギャイーー!」
ゴーズが突入した部屋は土煙が吹き出しよく見えないが、ゴブリン共の阿鼻叫喚の様相が伺える。部屋から何体もの死体となったゴブリンが弾け飛んでくる。
「ゴォーン!ゴォーン!ズゴォーン!」
ゴーズの雄叫びと共に徐々に収まる土煙り。
レイス一行は大きく破壊された部屋の入り口から中へと入った。
中には緑色の体液塗れで興奮気味のゴーズと、数十体のゴブリンの死体があった。壁に叩きつけられ、踏み潰され、見るも無惨であった。
「ゴーズ!」
辺りを見回したレイスがゴーズを呼ぶ。
「ズゴゴ……ゴゴ……」
ゴーズは興奮が収まり、怒られるのを覚悟でレイスに近づく。
「素晴らしいぞ、ゴーズ。一騎当千とは正にお前の為にある言葉だ!」
レイスは体液塗れのゴーズを撫でながら労いの言葉をかけた。
「ゾッグゾーゼン!ゾッグゾーゼン!」
一騎当千と言いたいのだろう、ゴーズは嬉しそうに叫んだ。
「凄いわぁ、ゴーズ。今綺麗にしてあげましょうね」
セレナは霧のシャワーでゴーズの汚れを落としてあげた。




