パーティメンバーの発表
魔王城城門前、魔王と腹心一同が集まっている。
堀の向こうに見える街並みは未だ復興道半ばであり、廃墟同然の建物も多い。
気候は雪こそ降っていないものの、北国特有の曇り空で薄ら寒い。
魔王レイスは手を挙げて号令する。
「よし、それでは冒険に出発する」
「いや兄上、和平の調印が目的だから……」
レイスがパーティメンバーと隊列を発表する。
本来、腹心それぞれが大軍を任される将軍クラスの魔族である。それが一つのパーティとして行動するのは初めての事だ。
「まず、先頭は俺、魔王レイス」
魔王レイス
ジョブ:魔王
役割:万能
属性:万能
ユニークスキル:形態変化
「次にバロス!」
炎鉄のバロス
ジョブ:ナイト
役割:タンク
属性:炎
ユニークスキル:暖房 野営時に暖かい
「次にウル!」
魔女狼ウル
ジョブ:狂戦士
役割:アタッカー
ユニークスキル:挑発 敵味方構わず相手に喧嘩を売る
「次にカイゼル!」
魔人カイゼル
ジョブ:黒魔道士、弟
役割:黒魔術士、軍師
ユニークスキル:生意気 誰に対しても歯に衣着せぬ発言をする
「次にセレナ!」
霧のセレナ
ジョブ:白魔道士
役割:ヒーラー、サポーター
ユニークスキル:誘惑 相手が雄なら誰でも誘惑する
「最後にゴーズ!」
地殻喰らいのゴーズ
ジョブ:ディガー
役割:掘削、乗り物
ユニークスキル:トンネル 扉、トラップを無視して目的地までのトンネルを掘れる
「魔王様、畏れながら、この順番は整列して移動するという事でしょうか?」
バロスが尋ねる。各々が相当な実力を持つ魔族である、整列して歩く意味を図り兼ねていた。
「そうだが?パーティとはそういうものではないのか?」
「まぁ、バロス。兄上が並んで歩きたいって言うんだから、付き合ってあげようよ。その内、どうせバラけるから」
カイゼルはゲームの中でキャラクターが一列になって進むアレをレイスがやりたいだけなのを理解していた。
「それと、魔王様、順番の発表時にご紹介頂けたのは有難いのですが、ユニークスキルがほぼ何と言いますか……悪口?になっていたのは気のせいでしょうか?」
ウルは自分のユニークスキルが、ただの喧嘩っ早い女にしか思えない事に不満そうだ。
「そうよねぇ、これだけ聞いたら一番有能なのゴーズだもの……相手が雄ならって、せめて男ならにして欲しかったですわ」
とセレナ。
「ズゴゴォーン!ズゴォーン!」
嬉しそうかどうか、誰にもわからないがとにかくゴーズは吠えた。
「私のユニークスキルは暖房、ゴーズよ羨ましいぞ……」
バロスは泣いている。
「すまん、ユニークスキルは適当に思いついた特徴を言っただけだ。気にしないで良い」
「……」
いつも思ってた事なんだ……と、逆に傷付く一同であった。
「さて、最初の未踏破ダンジョンだが……」
「いつも修練に使っている『地獄の井戸』かなぁ?いつもソロ攻略だからまだ20階層くらいだと思う」
カイゼルが手近な場所にある未踏破ダンジョンを提案した。
『地獄の井戸』何処まで深いのかわからない竪穴状のダンジョン。下に向かって穴に設置された回廊を進み、扉の奥を横に進むと階層の番人が守る部屋があり、倒すと次の階層に続く回廊への扉が開く。
竪穴は処刑にも使われており、死罪となったものは竪穴から落とされ闇に飲み込まれるが、着地した音も聞こえない為、深さを窺い知る事は出来ない。
「ふむ、20階層の緑龍は俺がソロで倒したが、それ以来訪れていないからな、このパーティで何処まで到達出来るのか楽しみだ。もしかしたら最下層まで到達出来るやも知れん」
「まぁ兄上、全部攻略しちゃうと修練するところ無くなっちゃうから程々でね」
しかし、カイゼル以外の腹心は知っていた。21階層には黒龍と双璧を成す白龍が鎮座していて、扉を開ける事も儘ならない事を……。




