何故かキッチンに女王
ロキ邸、シアタールーム。
ロキは動画配信サイトを大画面に映して、心霊スポット探索動画を観ている。
動画では、霊感の無い所謂0感の配信者が幽霊が出ると噂の廃墟ホテルを探索している。
ロキはと言うと、勿論、映像内の幽霊が全て視認出来ている。幽体、死霊系のモンスターが見えるのと同じ道理だ。
『ちょっと、今の何の音?人の声みたいのした!うううって、呻き声みたいな……』
配信者が明らかな風の音を呻き声だと主張して怯えてみせる。
「つか呻き声どころか、お前の周り幽霊だらけだっつの!あーあ、背中にお婆ちゃん背負ってるよ……」
声に出して動画に突っ込むロキ。1人でテレビ観ながら突っ込むタイプだ。
『私の経験からすると、この廃ホテルは……居ますよ。少なくとも3体の霊が……』
カメラに向かって断言する配信者。
「おいおい、100体は居るっつの!ほんっと面白いなこいつ、その量の幽霊見えないならお前には一生見えないから!」
『少し、頭が痛くなってきました。あと背中が痛いです……。これは危険かもしれません』
「頭の上で子供の霊がジャンプしてるからな。背中はお婆ちゃんと……お爺ちゃんの2体に増えてるし……。いや、違うなぁ、奥にいる死神みたいなのが生気を吸い取ってる。死ぬんじゃないか?こいつ」
その時、ロキのスマホに着信が入った。
「もしもーし」
「もしもし、ま、魔王のレイスだけど」
「はいはいレイス、どう?ゲーム進んでる?」
「ゲームは……少し滞っている。状態異常回復薬が足りないのだ」
「お、おう、そうか(知らんけど!)」
「で、和平の件だが……」
「おう、話し合ったかい?」
「あぁ、仲間と……話し合って、和平を受ける事にした」
「そうか!そりゃ良かった。反対意見は出なかったか?」
「それぞれ思う所はあるだろうが、納得してくれたと思う」
「ま、そうだろうな。ちょっと待ってくれ、女王ジルと変わるわ」
ロキは急いで謁見の間に転移したが、ジルは居ない。
「ゴルゴリー、ジルは?」
「女王陛下なら、アイーシャ殿を尋ねて行ったぞ?」
「え、ウチにいるの?」
ロキは自邸に戻った。キッチンから良い匂いがする。丁度昼時だ、アイーシャが昼食を作っているのだろうか?
キッチンに入ると、何故かジルとアイーシャが料理をしていた。どんな状況なのか理解出来ないロキだが、とりあえずジルに電話を代わろうとする。
「えーと、ジル、魔王レイスから和平受けるって電話入ってるから」
ロキはスマホをジルに渡した。
「え?これ何?でんわってなに?」
「ジル様、その機械で遠く魔王城のレイスと話が出来るんです」
アイーシャが説明するが……。
「急に?魔王と?妾が?直接話すの?」
「そうですよね……。ロキ様、あまりに突然過ぎるのでまたにして下さい」
アイーシャが怖い顔でロキに言った。
「だ、だよねー、もしもし?とりあえず、了解。多分、和平の調印式とか超絶めんどくさい段取りがあるんだろうから……また連絡するわ」
「そうか、わかった。こちらは和平を前提で山脈以南を不可侵とするから女王にそう伝えて欲しい」
「オッケー!じゃあ、またなレイス」
ロキが電話を切ってジルに向き直る。
「と言うわけだが、ジル。女王がキッチンで何してんだ?」




