異世界どんぶり勘定
「あ、おいレイス、名前を魔王レイスにするな!ゲーム内でも魔王が魔王を倒しに行くシュール展開になるだろ」
「確かに……ではレイスで始めよう」
「ロキ様、話途中でしたよね?」
アイーシャが冷静に嗜めた。
「あぁ、そうだった。ハッシュ、その女ってのは何者なんだ?」
「ローズマリーって覚えてる?」
「いや?なにせ、お前に記憶消されてるものでな?」
「だからそれはごめんて……。まぁ、そのローズマリーは、一回手酷くロキに振られてるんだけど……」
その瞬間、晴れていた空がピカッと光ったかと思うと轟音と共に大きな雷が屋根の壊れた玉座の間の床に落ちた。
「なんか、怒ってるみたいだぞ?ハッシュ」
「……だね、まぁこういう事する女がロキを狙ってるんだけど、正面から戦っても勝てないからアイーシャちゃんを狙ってるわけさ」
「そうですか……忠告ありがとうございます。しかし、私はロキ様の足手纏いにはなりたくありません。どんな相手でも、例え相打ちになろうとも必ずそのローズマリーとやらの息の根を止めます」
「その意気や良し!と言いたいところなんだけど、僕らを殺すには頭潰して心臓もすり潰して灰にしないといけないんだよ?」
「それは……気持ち悪いからロキ様がやってくれます」
「え?まぁ、その前に俺が駆けつけてぶっ殺すから大丈夫だよアイちゃん」
「まぁ、目的はロキ様ですからね、ちゃんと責任取って下さいね!なんかその人、振られたみたいだし……」
「記憶が無い事で命狙われるって、ほんとに迷惑だわ……ハッシュも責任取れよ」
舞子(この人達、エグい事で責任をなすりつけあってる……。で、魔王はゲームに夢中で聞いてないし)
「うん、僕もフォロー出来る事があれば知らせるよ。アイーシャちゃんが心配だから」
「何故ハッシュ様が私を心配するんです?こんな見ず知らずのエルフの」
「うわぁ、このとぼけた感じ……ロキも苦労するわけだ。まぁ、とにかくそう言う事だから、気をつけてね」
「めんどくさいなぁ、ローズマリーってのも直接俺のとこにくれば謝ってやってもいいのに」
「ロキ様、謝ってまた迫られたらどうするんですか?」
「それは……」
「はいはい、そうゆうの自宅でやってねロキ。見てらんないから」
舞子(確かに……なにかとイチャイチャする二人。わかります、ハッシュ様)
「えーと言うわけで、魔法の素養ゼロ、存在感もゼロのオヤマダが閉めさせていただきます。魔王様、これで工事は終了となりますが、何かご質問は?」
「あぁ、すまんな。ところで、ここまでやってもらって支払いはどうなるのだ?」
「それは、ロキ様から頂いておりますので大丈夫で御座いますぅ」
「まぁ、必要経費だ。気にするな、レイス」
「そう言うわけにいかん。後ろの扉の向こうに金銀財宝がたんまりとある。必要なだけ持っていくが良い」
舞子(これが噂の異世界どんぶり勘定……)




