魔王、勇者でRPGを始める
「じゃあ、レイス。和平の件、落ち着いたら仲間と話し合って電話くれよ?」
「ちょっと待ってくれ、ロキ」
レイスが帰ろうとしたロキを呼び止めた。
「どうした?なにかわからない事か?」
「いや、このゲームってやつはどういうのだ?」
自分のスマホの画面を指差して聞いた。
「まぁ、こんなやつだが……」
ロキは自分のスマホにインストールしているゲームを何種類か見せた。
「おぉ、凄いな……この小さな板の中でこんな事が出来るとは……オヤマダと言ったか?お前の世界はどうなっているのだ?」
「いやいや、科学が進んでるだけで大した世界じゃ御座いませんよぉ?自然も破壊されてるし、人々は常に何かしらの悩みを抱えて生きてますから」
舞子(社長が真面目な事言ってる……)
「そうなのか、こんな物が普通にある世界は神の国の様な所と思ったのだが……」
「私からすれば、こちらの方がよっぽど素晴らしい世界ですよ。隣の芝生は青く見えるってやつです」
「レイス、オヤマダの世界には魔族が居ないんだぞ?龍も居ないし魔法も無い」
「ロキ様、御言葉ですが、魔族が居ないと仰いましたけど、確認されてないだけで、何処かでひっそりと生き延びているかもしれませんよ?だって物語や伝説、民間伝承には沢山の痕跡がありますからな」
「確かに居ないと決めつけるのは良くないな。魔法の素養があっても使えないと思い込んでるだけかも知れんしな」
「ロキ様!私も常々そう思っております!」
勅使河原舞子、自分好みの話に思わず大きな声が出た。
「ふふふ、舞子さん。嬉しそうね」
楽しそうな勅使河原を見て、アイーシャが微笑んだ。
「ちなみにオヤマダ、お前の魔法の素養は……ゼロだ」
「ズコッ!」
「ほら、レイス。ネットはメールしか繋げられんから、オフラインで出来るゲームをインストールしといたぞ。勇者が魔王を倒すRPGだ」
「なに?RPG?」
舞子(引っかかったのそこなんだ……)
「ロールプレイングゲームって言ってな、ゲームの主人公に成りきって仲間を集めたり、謎を解いたりして目的を達成するゲームだ、ほらこんな感じだ」
「なるほど、これは面白そうだな」
(魔王が勇者に成り切って魔王を倒すゲームするってシュールにも程があるでしょ)
「じゃ行くわ、レイス。ハッシュもな、この世界で悪さするなよ?」
「わかってるよー、アイーシャちゃんもまたね!そっちの可愛い子もまた一緒に作業ってやつしようね!」
舞子(可愛い子、10年ぶりに言われた……)
「おいハッシュ、オヤマダ社長にも挨拶してやれよ」
「おじさん、作業着早く持ってきてよね、バイバイ」
「ズコッ!この落差にズコッ!」
「あ、そうだ!アイーシャちゃん、今度個人的に会いに行っても良いかな!」
「はぁ、まぁ、ロキ様が良いなら……」
「お前とアイちゃんが二人で会うなんて駄目に決まってんだろ?ハッシュ……」
ロキがまた赤黒い闘気を纏っている。
「おぉ、怖っ!いや、アイーシャちゃんに忠告があってね」
「何でしょうか?」
「えっとね、知らない女の人が尋ねてきたり、突然現れたらすぐにロキに助けを求めてね。戦おうとしちゃ駄目だよ?アイーシャちゃんがいくら強くても負けちゃうから」
「あん?そりゃどう言う事だ、ハッシュ」
ロキの鋭い目がハッシュを捉えた。




