もしもし、魔王のレイスだけどぉ
「うわぁ……、ボロボロ」
勅使河原は魔王城を見て率直に感想を言った。
「半壊状態ですねぇ、これロキ様がやったんですか?」
「そうですよ、舞子さん」
「いやいや、アイちゃんもその一味だから……」
「まぁ……屋根もありますし、これくらいなら大丈夫でしょう!さぁ魔王様にご挨拶に行きますよ、勅使河原君」
「いざ、リアル魔王に会うと思うと、ちょっとドキドキしますね、アイーシャ様」
「そうですか?そんなに強くないから大丈夫ですよー」
「この世界の力関係どうなってんだ……」
「ごめんください!オヤマダ建設のオヤマダですがー」
「構わん、入れ」
魔王レイスは玉座に座り、その横の階段に青髪のハッシュも座っていた。
「ちょっ!ロキ、何その格好!」
ハッシュが興味深げに近寄ってくる。
「いいだろ?作業着ってやつだ」
「うん、格好いいよぉ!特にそのズボン!見たことないくらい太いねぇ」
「ニッカポッカって言う特別仕様らしいぞ?このジカタビってブーツもそうだ」
「めちゃくちゃ動きやすそうだねぇ!いいなぁ。ねぇおじさん、僕にもこの服くれないかな?お代はロキが払うから」
「お代なんて要りませんよ、一着用意しましょう」
そのやりとりを聞いて勅使河原は思った。
(ニッカポッカと地下足袋が次元を越えて流行ってしまう……)
「アイーシャ様、あの青い髪の軽ーいイケメンはだれなんですか?」
「あの人はロキ様の知り合いらしいですが、詳しい素性は私も知りません……」
「オヤマダ、さっさと工事終わらせちまおう。ハッシュ、お前も暇なら手伝え」
「いいよー」
工事は1時間で終了した。
重い資材を屋根に運ぶ作業もロキとハッシュが居ればあっという間だった。
「これで良しっと。レイス、俺が外に出るから電話してみてくれ」
「このボタンを押すんだな?」
「そうです、そうです魔王様」
オヤマダが操作を教えた。
ロキが外に出ると着信が入った。
「もしもしー」
「わ、私だ」
「私だって何だよレイス、家族か!」
「初めてだからわからん」
「もしもしー、魔王のレイスだけどぉって言うんだよ。一回切るからやり直して」
また着信が入った。
「もしもしロキか?ま、魔王のレイスだけど……」
「オッケー、そんな感じで!」
魔王側で勅使河原は見ていた。スキンヘッドの全身どす黒い姿に金色の呪文の様なものが浮き上がった恐ろしい姿の魔王が、恥ずかしそうに初めてのスマホで電話する場面を。
(魔王……かわよ)




