まだ?
ロキ邸のリビングに戻ったロキとアイーシャ。
ロキはソファに座りぐったりとしている。
アイーシャも流石に疲れた様子で溜息をついた。
「アイちゃん……」
「何でしょう?」
「ぎゅーってして」
「……」
「冗談だ……」
ロキは立ち上がって出口に向かった。
「ジルが映画見終わるまでまだ時間あるから、ちょっと風呂入ってくるわ」
「はい、ゆっくり入ってきて下さい、ロキ様」
アイーシャはロキを送り出し、上を向いて目を瞑った。
「今日は慌ただしかったな……。でも、これで一息つけるかな。久しぶりにロキ様と黒龍で旅に出るのも良いかも」
しかし、アイーシャは思い出した。
「あぁ、駄目だ、魔王城の工事が3日後だった……」
その時、何故かロキが戻ってきた。
「アイちゃん、露天風呂にタンガと愉快な仲間達が20人位入ってるんだけど……早過ぎん?」
「ロキ様、気づかなかったんですか?旗艦の物見から露天風呂に向かってロープが張られてたんですよ」
「は――?何だあいつらアクロバチックに侵入しやがって……」
ロキはフラフラしながアイーシャの隣に座った。
「はぁ……アイちゃん、やっぱりぎゅーってして」
「いいですよ……」
「……え?」
アイーシャはうな垂れるロキを抱きしめた。
「ロキ様、今日はお疲れ様でした。少しの間、このままお昼寝してください」
「え、あ、お、おぅ……ちょっと寝るです……」
「寝るですって……うふふ」
アイーシャもロキの身体の温もりを感じ、そのまま目を閉じた。
暫くして……。
「何じゃ――!こりゃあ――!ロキとアイーシャがちちくりおうておるのじゃ――!」
「ん――、あぁジル、映画終わったか。面白かったか?」
「すっごく面白かったのだぁ……じゃない!い、今、ちちくりおうておったろ?なんなのだ?お主ら、もうそーゆー関係か?」
「女王様、すいません。ちょっと休憩していただけです……。まだ、その様な関係ではありません」
ロキ(ん……まだ?)
ジル「まだ?」
ゴルゴリー「まだ?」
「あ、いえ深い意味はありません。申し訳ありませんが、ロキ様は少々お疲れでして、そろそろお休みになるそうです」
「さ、さようか、ではそろそろ失礼しようか、ゴルゴリー」
「はい、女王陛下。まだ、実務が残っておりますので執務室に参りましょう」
「はぁ……ではロキ、また参るのだぁ」
「おー、悪いな、ジルまたな。来る時はちゃんとアポ取ってからにしてくれよー」
「女王陛下にアポ取れとは何事か!」
「うるせー女装ジジイ、早よ帰りやがれ!」
ジルはゴルゴリーに「まだってどうゆう事なのだ?」と言いながら退出した。
「アイちゃん、助かったよ、ありがとう。」
「いえ、今日は大変でしたから。私もゆっくりしたくて」
「じゃあ、さっきの続きを……」
「もうなんか恥ずかしくなったから嫌です」
「……じゃあ、俺……シアターでアニメ観てくるわ」
言ったロキの後ろ姿はとても寂しそうだった。




