面倒な会談
「ロキよ、勝手に魔王と和平の話をして来たそうだが?」
国防大臣グリシャム、有力貴族だが軍属上がりで戦を好む鷹派である。昨日の防衛戦でも当初、軍を率いて自ら城壁の外で魔族を迎え撃っていた。
ロキ邸のリビングルーム。
女王ジル、国防大臣グリシャム、近衛師団長ゴルゴリー、そしてロキとアイーシャが会していた。
「勝手にと言うが、俺以外に誰がこの戦の後始末がつけられる?勇ましく戦ったかもしれんが、敵に押されて王都に立て籠もったあんたか?グリシャム。それとも、女王の脇で紛れ込んだ魔族にも気付かず、まごまごしてたゴルゴリー、あんたか?」
「しかしだな……」
「しかしもかかしもないんだわ、グリシャム。昨日、俺が出張らなきゃこの城は落とされ、俺とアイーシャ以外は今頃死んでるか良くて牢獄だろ?化け物と対峙したあんたはわかるよな」
「確かに戦力差は歴然であった」
グリシャムは無念そうに言った。
「仮に、和平を結ばずに戦いを継続する場合だ。国防大臣として、あんたに勝てる作戦が立てられるのかい?勿論、俺を当てにせずだ」
「……」
「無理なら和平を結んで、お互い国を立て直すんだ。魔王レイスにもそう言ってある。まだ受けるかどうかはわからんがな」
「その後は?」
「その後の事まで俺は知らん。今回で先代王に受けた恩は返したと思ってる。だから、お互いの国が復興する頃、俺がまだここに居るとは限らんしな……いや俺たちか、ごめんアイちゃん」
「いえ、ロキ様。お気遣いありがとうございます……」
(睨んだくせに良く言うよ……)
「ロキィ、妾はずっとここにいて欲しいのだぁ」
女王ジルはそう言ってロキの片袖を掴んだ。
「ジル、そんな先の事はわからないって言う意味だよ」
「んーわかったのだ、ロキ。和平の交渉は任せる。お主以外に事を収められる人物はおるまい、なぁ?二人とも」
「わかりました。陛下の仰せのままに」
「あ、そうそうまた忘れるとこだった。南の大陸、オイスターソース……」
「オーストベルク。わざと言ってますよね?」
アイーシャが真面目に突っ込む。
「そう、そこの海軍が30隻で南側の海上から攻めて来たろ?」
「なに?初耳だぞ?」
グリシャムが、目を丸くして驚きを見せる。
「これだよ……大丈夫か?お前らの軍は……。んで、ゴルゴリーは映像見たと思うが、15隻を沈めて残りを俺の麾下に入れた」
「まさか、タンガ・ロウもいるのか?」
「いるよ。お前らが散々海上貿易で襲われてきたあの海賊だ」
「あいつら、どさくさに紛れて海上から攻めてきおって!処刑待ったなしですぞ、女王陛下!」
「んー駄目じゃ!あいつらは……もうロキの麾下なのだ!処刑など言語道断!グリシャム、そやつらに宿舎の用意と港を解放するのだぁ」
「ぐっ……お、仰せのままに……」
「はい!面倒な話はこれでお終いっと!魔王のとこは俺が上手く纏めとくから、国の復興は宜しくな」
ロキは手を叩きながら立ち上がって会談の終了を促した。
「はい、解散解散!ジル、いいかお前は女王だ、側近の言いなりなんかにならずにしっかり自分で見て、自分で考えるんだぞ?」
「うん、わかったロキ、妾、頑張るのだ……。では、シアターとやらに戻るのだぁ!」
「いやいや、俺はまだ下のタンガ・ロウに会いに行かなきゃならんし、またな?」
「女王陛下、シアターに戻るならこのゴルゴリー、お供いたします」
「いや……マジでお前は帰れ」




