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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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女王のシアター鑑賞会


 ロキ邸、ミニシアタールーム。

 

 上映される映像は黒龍の頭、キャノピーに取り付けられたG-PROで撮影されたものだ。

その為、その映像はモキュメンタリー映画でも観ているかのような臨場感がある。


 格納庫の扉がゆっくりと開き、カメラが揺れながら海上、そして戦列艦の船団を捉える。

そして、黒龍が飛翔を始めた瞬間に戦列艦から大砲が発射される映像が流れた。


 ルームの彼方此方から悲鳴が聞こえる。

無理もない、ロキとアイーシャ以外、スクリーンで映像を観る事自体が初めての体験なのだ。


 しかし、その悲鳴は黒龍が熱線で砲弾を撃ち落とし、さらに船団に反撃した事により、歓声と拍手に変わった。


「凄いぞ、ロキィ〜!こんな魔道具があるとは知らなかったのだぁ!」

 女王ジルは叫んだ。

 

「まだ、映像は始まったばかりだジル。これでびっくりしていては最後までもたんぞ?」


 映像は戦列艦から上空から王都を見下ろす場面に切り替わった。王都城壁外を無数の化け物が覆い尽くす映像にまた悲鳴が聞こえる。


「あの下に見える不死の奴らがこの国の人間だとわかって、結界を張り替えて生き返る様にしたんだ」

 ロキが指を差して説明する。


「ロキ、我が国民を助けてくれて感謝する。この処置がなければ、我が国は支えとなる多くの人々を失ったままであった」

 ジルが感謝を伝えた。


「まぁ、俺の責任だからな……」


 アイーシャはそれを聞いてロキがまだ悔恨の念に囚われている事を改めて知った。

 

(ロキ様はやはり、自分の存在がこの世界にある事が元凶だと思っているんだ……)


「んー?俺の責任とはどう言う意味だ?説明せい」

女装のゴルゴリーがロキを問い詰める。


「ゴルゴリー殿、ロキ様は謙虚にそう仰っているのです。今回一度も戦場に姿を見せなかった貴方に偉そうに言われる筋合いはありません!」

 アイーシャはつい、かっとして言い返してしまった。


「まぁまぁ、アイちゃん。老いたご婦人の言う事だ、聞き流そう。まだ続きがある、これからアパッチ軍団の登場だ」


 映像は丁度、龍の大群を黒龍が攻撃する場面となっている。暫くすると遠くから「ワルキューレの騎行」が流れ始めた。


 大音量と共に現れた攻撃ヘリの軍団の編成に黒龍が加わり、龍の大群や地上の化け物共を駆逐していく。


 周りからまた歓声と、拍手が起こる。


「ロキ!あれは何なのだ!あんな物、妾は見た事も聞いた事もないぞ!それに昨日も聴こえたあの音楽……一体どこで演奏しているのだぁ!」

 ジルはロキの袖を掴んで揺すりながら興奮が収まらない様子だ。


「ジル、袖が取れちまうよ。ありゃまぁ何というか、俺の召喚獣みたいなもんだ」


「しかし、人が乗っているではないか」


「んー、説明が難しいな。あれも含めて召喚しているんだよ」


「そうか何でも良いがアレは格好良いなぁ、ロキ」


「格好良いだろう?」


「あぁ、あの音楽もなんとも勇壮で素晴らしい……」


「ジルが感動してくれて良かったよ」


 映像はその後、体高60mの巨象を無数の軍隊アリが駆逐する場面、黄金の三頭龍をロキ、アイーシャ、黒龍で討伐する場面と続き、終わった。


 ルームの照明が付き、少しの静寂とふぅという溜息の後、周りから拍手が起こった。


「さて、これが昨日の戦闘のあらましだ。改めてジル、どうだった?」


「感動した!映像もそうだが、このシアタールームとやら、妾の部屋にも欲しいのだ」


「いや、それはちょっと……みんなもここで見た事、外であんまり言っちゃ駄目だよ?信じてもらえないだろうけど。ゴルゴリーもわかってるな?」


「ん、あぁわかっておる。時に相談だが……また、観に来ても良いだろうか?」


「ゴルゴリー!妾を差し置いて抜け駆けは許さんぞ!?」


「そりゃ夢中になるか……」

 

 若干、シアタールームに招待した事を後悔したロキであった。


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