船15隻置きっぱを思い出した男
トレーニングフロアの窓際。
外は闇が広がっている為、窓にはフロア内が映し出されている。
トレーニングウェアに着替えランニングマシンで走るロキは一人愚痴ていた。
「疲れてるって……言うのに……何をやってんだ……俺は……はっ……はっ」
いつもはお気に入りの音楽を流し、上機嫌でトレーニングするロキが、今日は何をかけたら良いのか悩んだ末に無音を選んだ。
「はっ……はっ……はっ……」
自らの息遣いの他に、何か聞こえてくる。
「おーーーい……」
あれ?何?声?人……だよね?気のせいかな?
「おーーーい……」
風?いや、絶対人だって!
まるで心霊動画配信者の様な事を思いながら、ランニングを続けた。
……あ、忘れてた。タンガと愉快な仲間たち。
やべ、マジで放置して風呂入って寝るとこだったわ!
ロキは魔法陣で旗艦マタ・ウエンガに転移した。
「いやぁ、ごめんごめん、後始末に時間がかかっちゃって……」
「……見えてたんだが」
「ん?何が?」
「今、窓際の機械で走ってたろ?」
「……ごめん」
「もう、オーストベルクに帰ろうと話していた所だ」
「いやいや、忙しかったのは本当なんだよ、やっとひと段落ついたとこよ。走りながら頭の整理をしてたわけ……」
「それで?お主の麾下に入った我らはどうしたら良いのだ?」
「えーと、だな。その……あれだ」
「なんでしどろもどろなんだ」
「んな事ないわ!明日、ズールの女王と大事な会議がある!そこでオーストベルクの海軍最高戦力であるところの?君たちの処遇を話し合う事になっている!」
「本当か?」
「マジだ」
「わかった。それでは明日結論が出たらすぐに指示をくれ」
「うむ、任せろ。あーあとな、船倉に酒と食料をたんまり入れといたから、今日はもう宴会でもしてゆっくり寝てくれ」
「そうか、かたじけない。まぁ我らは敗軍、あまり文句を言える立場ではないからな」
「いやいや、もう仲間だろ?堅苦しい事は抜きにして楽しくやってくれよー」
「ロキ殿も宴会に付き合わんか?」
「いや、俺はもうホント疲れてるの、見たでしょさっきの戦い」
「あぁ、度肝を抜かれるとはこの事かと思った」
「でしょー?だから、悪いね、日を改めて飲み明かそう。それじゃ、今夜は楽しんで!」
ロキはトレーニングフロアに戻った。
ふぅ、そういえば女王にあいつらの事話してないわ……。
ま、明日でいっか、忘れそうだけど。
さて、そろそろ一時間経つから面倒な事は忘れて露天風呂でゆっくりするか!




