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ロキは最強に飽きている  作者: 月極典


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ファンタジーオタ、衝撃映像を鑑賞する


「そうだ魔王城だ、冗談は言ってない。そう、スマホだ、ゾマホンじゃない、誰だそれ」


 ロキは既に王都に戻り、オヤマダに電話している。

魔王城に基地局と充電設備を設置する様に要請しているのだ。


「大丈夫だ、魔王のレイスは意外と落ち着いた奴だし、ヨダレも垂れてない。側近みたいな女の魔族は凶暴そうだが、アイちゃんが一回殺してるから大して強くない。いや、私でも勝てます?って無理に決まってるだろ」


 オヤマダは電話の向こうで中々了承しないようだ。


「黒龍?駄目だろう、工事の立ち会いに伝説の龍連れてったら。下手すりゃ工事の前に魔王城壊滅させかねんぞ?え、アイちゃん?」


「アイちゃん、さっきの工事の件、オヤマダが一緒に行って欲しいってさ」

 

「まぁ、私は構いませんよ?ロキ様が良いなら。工事とかは良くわからないので護衛するだけですけど」


「行ってもいいってさ、ん?誰?秘書?オヤマダって秘書とか居るんだ?へぇ、俺の事話したの?信じた?ファンタジーオタ?あーなるほどね」


「アイちゃん、オヤマダの女性秘書ってのが一緒に来るらしいけど、仲良く出来るか?」


「私を何だと思ってるんですか?仲良く出来ますよ!」


「仲良く出来るってさ、あ、わかってるって?うん、うん、じゃあ準備出来たら工事日を先方に伝えるから教えてくれ。じゃあ、また、あいーあいー……」


 

 オヤマダタワーの社長室。


「はい、はい、それでは失礼しまー……す」

 オヤマダは電話を切って深い溜息をついた。

 

「大変な事になりました……」


「社長、何か不穏な話してましたけど?」


「ああ、魔王城の携帯電波基地局とソーラー発電工事を請け負ってしまった……」


「魔王って敵じゃないんですか?」


「ロキ様が魔王城に転移してからの映像見てないから、一緒に確認しようか」


 オヤマダは映像をサーチした。

「この辺かな……」


 映像はロキがトールハンマーで青髪の男に一撃加えるところだった。

 

 超小型カメラは玉座の後ろの壁に仕掛けてある。


「いきなり凄っ!社長、この青い髪のイケメンが魔王です?」


「いや、それは別人。魔王は玉座に隠れて見えてないよ」


「なんか……ロキ様、知らない民謡歌いながら超高速で攻撃してますね……あ、割れた」


「おもしろ強いよねー、ロキ様は」


「何だんずーって、津軽弁じゃないですか」


「ほんと、何で津軽弁が出るんだろ、この場面で」


「あっ、頭押さえて痛がってますよ!」


「珍しくピンチだね、こりゃ」


「うっ、手前の玉座から黒い化け物が歩いてきます……」


「これが魔王、なんだよねぇー残念ながら」


「うわわ、見た目えぐっ、手が剣に、ロキ様ー!気を付けてー!」


「いや、これ録画だし、さっき本人から電話来てるから」


「あー、ロキ様が斬られ……なんか、キター!アイーシャ様だー!どっせい!だって社長、ねぇ、社長!」

 勅使河原はオヤマダの肩をバンバン叩いた。


「う、うん凄いよね、アイーシャ様」

 本来なら、オヤマダがキター!と、大騒ぎしたいはずが勅使河原の興奮に押されて乗り遅れ気味だ。


「てぇてぇー……アイーシャ様、推せるわぁ……」

 勅使河原は目をウルウルさせて言った。


「ちょっと、アイーシャ様は社長が一番最初に推したんだからね!」

 オヤマダは腕を組んでプンスカして言った。


 その後、映像はアイーシャのビンタからラブコメ会話に移る。


「うわぁ、このくっつきそうでくっつかない、韓流やん、韓流ドラマやん」


「いや、本来ラブコメは日本ドラマのお家芸だったんだよ?」


「あ、今その懐古話いいです」


 冷たくあしらわれ、心が折れかけたオヤマダだったが、何とか立ち直った。


「ふむ!この流れで和平か。流石ロキ様、神の視点って感じだなー」


「ロキ様って神なんですか?まさか、北欧神話の……」


「あれはあくまで神話でしょ。この方が神なのかはわからないけど、もしこんな面白くて親しみのある神様なら私は喜んで信仰させてもらうよ」


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