王都防衛戦 ⒄防衛完了
ロキは魔法陣に手を置き、上書きした。
そして、上書きした己が魔法陣を消した。
「ふう……」
上書きする瞬間、その魔法陣に馴染みがある様に感じたが、また頭痛になっては堪らんと考えるのをやめた。
とにかく今はこの混乱を収めなければならない。そして、それが出来るのは自分しかいない。
責任感とは無縁のロキだったが、この世界には少なからずどうにでもなれ、とは言えない人々がいるのだ。
「ロキ様、取り敢えず一段落でしょうか?」
「いや、東側の死霊術士をほっといてるから、その辺りを確認してからかな。黒龍、スコールの中悪いけどまた飛んでもらうよ?」
ロキは小さく咆哮した黒龍の顔をポンポンと優しく叩いた。
二人は再び黒龍のコクピットに乗り込んだ。
ロキは二人の濡れたスカイダイビング用スーツを指を鳴らして元の服に戻した。
「中佐いるかい?」
「ロキ、さっきの黄金の化け物を倒したんだな。信じられん程に見事だ!」
「ありがとう中佐、取り敢えずここいらの化け物共は片付いたよ。あんた達最強の騎兵隊のおかげだよ」
「なんの、良い波と最高のヘリがあったからだ。仕事が終わりなら、俺は波乗りしてから帰るぜ」
「あぁ、わかった。また呼んだら飛んで来てくれ!」
「ロジャー!」
アパッチの編隊が西の海に去っていき、やがて姿を消した。
「あの人達、まるで本当に実在しているみたいで凄かったですね……」
「あぁ、ベトナムで暴れるより何倍も気分が良かったろうさ」
黒龍は東側上空を飛んでいるが、下を眺めても不死の軍勢は既に居なかった。
低空で飛行し、その発生源となるべき死霊術士も見えない。どうやら北側の地獄絵図に巻き込まれまいと逃げ出した様だ。
「どうやら、こっちも終わったみたいだね。これで晴れて城に帰れるな、アイちゃん」
「はい。でもまだ、魔王復活の件やあの化け物共を誰が呼び出したのか、仕事は終わってないですよ?ロキ様」
「へーい、俺たちの戦いはこれからも続く!って言いたいんでしょ?」
「打ち切りマンガの定番みたいに言わないで下さい!ほら、王都ですよ」
ロキとアイーシャが王都を眺めると、今だに続く生き返った人々の手当てに奔走する兵達が、見上げて手を振り、中には深く礼をする者もあった。
「んじゃ、俺たちも手当ての手伝いでもしに行きますか?めんどくさいけど!」




