王都防衛戦 ⒁怒れる黒龍、怯えるアイーシャ、ズコるオヤマダ
黄金の龍が完全に姿を現した。
首を伸ばせば100mはあるだろうか。巨象どころではない怪物、いや怪獣である。
「黒龍!一旦離れるぞ!」
ロキとアイーシャは飛翔し、猛然と近づく黒龍に飛び移った。
この世界で最強の黒龍であっても、簡単に倒せる相手ではない。
コクピットに入った二人は息をついた。
「ふぅ、まさかキング何某とは、相手も只者じゃないねぇ」
「ロキ様、知っているんですか?あの怪物」
「あぁ、あれは宇宙怪獣。怪獣映画最強クラスの悪役。アイちゃん、大変だよ?あいつを倒すのは……」
「え?……は?ロキ様は?」
「だってさっき、私の力で倒しますって感動の決意表明してたから。俺が手出したら怒るでしょ?」
「それはぁ、首一本の時ですから!あんなの城くらいあるんですよ!嗚呼、凄い甲高い声で咆哮してる!怖い!」
「いけるいける、一本は首刎ねたんだから」
「ロキ様、気付いてないでしょ?もう頭……復活してるんですよ!」
ロキが黄金龍を見ると、先程刎ねたはずの頭が再び生えている!
「ちょっ!キング、エグ過ぎ!」
黄金龍は長い首をのたうちながら口から電撃属性の光線を辺り一面に向けて吐き出した。
光線は黒龍を後ろから直撃する。
感電した黒龍はたまらず墜落しかけたが、直前に回避し怒りの咆哮を上げた。
黒龍は怒りに任せて黄金龍に突撃した!
「黒龍!突撃はダメ!俺たち頭に乗ってるから!」
黒龍はロキの静止を聞かずに、頭から相手の腹に突っ込んだ!
黄金龍はその衝撃で激しい咆哮をしながら後ろに倒れ込んだ。
雑音と共に通信が入る。
「ロキ様?大丈夫ですかー?」
「オヤマダか……これ何だ?」
ロキは白いクッションと背もたれに挟まれている。
「はい、こんな事もあろうかとエアバッグ付けときましたー、はい!」
「跳ね返されて首もげるかと思ったぞ?アイちゃん無事か?」
アイーシャも前の背もたれから射出したエアバッグに挟まれていた。
「私も跳ね返されて後頭部打ちました、いてて……」
「でも、死ななかったでしょー?ええ、ええ、生きて良かったです、安心しましたーはい!」
「で、オヤマダ、まだ観戦してるのか?」
「いやいや、サボってるわけじゃないんですよー?その怪獣の倒し方調べたんですがね、三つの頭を同時に跳ねれば良いみたいです、はいー」
「三つ同時ね、こいつはいいや。今こそ俺たち三人の力を合わせる時だな!」
「ロキ様、三人ってまさか……」
アイーシャが恐る恐る尋ねた。
「ああ、俺、アイちゃん、そしてオヤマダだ!」
「ズコッ!通信機の向こうからズコッ!おじさんに一役担わすのやめて下さいー」
「あはは!冗談だ、冗談。俺、アイちゃん、黒龍で怪獣退治だ。ちょうどほら、アリさん達が腹を空かせて集まって来てるよ」




