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48時間


 宇宙戦艦ウィガニス格納庫。


 巨大なエレベーターが降りてくる。

ロック、カイゼル、ウル、バロス、セレナの5人は左右に別れ、敵の登場に備える。

「バロス! 頭を扉の前に置いて確認してくれ!」

 ロックが指示するとバロスはガシャンガシャンと扉の前に自らの頭を置いて元に戻る。


「便利な頭だねぇ」

 セレナ、バロスの真後ろは暑いので少し距離をおいて感心した。

 

「恐縮です……」

 エレベーターの前に置かれた頭が照れたように言う。


 ポーーンッ、ゴトンッ。


 エレベーターが到着し、扉が開く。

「……」

 静寂の中、それぞれが攻撃に備えて構える。


「誰もおらぬ」

 バロスの頭が中を確認して言った。


「なんだよぉ、このパターン強烈な敵が乗ってるでしょ普通」

「ふん、拍子抜けだよ!」

「ま、面倒なくて良かったじゃねぇか」

 カイゼル、ウル、ロックが言いながらガヤガヤとエレベーターに乗っていく。バロス、セレナもそれに続いて扉が閉まる。


 ガタンッ、ウィーーーーン。


 エレベーターが高速で上昇していく。

格納庫とブリッジを繋ぐ直通エレベーターらしく、階数表示は2つしかない。

「へぇ、機械ってやつは凄いんだねぇ、キラキラしてるしさぁ」

 ウルがエレベーターの壁を摩りながら独り言を漏らす。


「ウル、お前可愛いやつだな……」

 ロックがウルの頭を撫でる。ウルはその手を体をよじって避ける。

 

「ま〜たやってるよ。ブリッジはさすがに敵がいるはずだから油断して死なないでよ?」

 カイゼルが呆れた様子で注意喚起する。

すると、コンソールの前にいたバロスが階下のボタンをバシバシと必死に押している。


「どしたの、バロス?」

 カイゼルが聞くとプカプカ浮いているセレナが楽しげに答えた。

「クククッ、バロス、頭を下に忘れて来ちゃったのさ。私は知ってたけどね……」


 格納庫のエレベーター前ではバロスの頭が閉まった扉を見つめている。

「身体よ……」


◇◇◇


 地球では、SETIプロトコル(地球外生命体との接触ガイドライン)に基づいて、ウィガニスとの通信を試みていたが、とうとう返信が来た。


『親愛なる地球の知的生命体諸君。私はこの宇宙で最も寛大で知られた王、ウィガンである。

 我々は平和の使者などと建前を言うつもりはない。本来、止むに止まれぬ事情で諸君が太陽と呼ぶ恒星を破壊する予定であったが、水と緑の惑星、地球を見て私は非常に気に入った。

 故に、我が物とすることに決定した。交渉は無く、質問も受けない。

 各国指導者は下記の指示に従い行動することを求める。

 

 48時間後、我が母船ウィガニスは下記座標へ着陸する。

 34°54'18.0"N 117°52'58.8"W


 地球指標である最新の名目GDP上位50カ国の政治指導者は母船着陸までに当該座標に集合すること。期限までに辞任した場合、当人及び次期指導者が対象となる。


 指導者が期限までに現れない場合には当該国を破壊する。破壊の影響は周辺国にも及ぶ攻撃規模となる。

 半数を超える場合、地球の支配を中止し、恒星破壊に切り替える。地球そのものが霧散する結果にならぬよう、期限まで必死の努力をすることを期待する。


 地球の新たなる王 ウィガン

 』


 独裁者からの有無を言わせぬ命令だった。

「公開処刑だ……」

 勘のいい指導者は全員同じことを思った。しかし、地球の運命を引き換えに逃げる事は出来ない。政治指導者にとって絶望的な通達と言えた。


 未知との遭遇、その場所は超大国空軍基地の横、巨大な乾湖。全長5kmのウィガニスが着陸するに十分な広大な平地に決まった。


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