第1話
「ちょっと、教えてもらいたいことがあって……」
俺は少し躊躇しながら、質問を切り出す。
先生は優しい微笑みを浮かべながら、俺の方に少し身を寄せる。
「何でも聞いてください。どうぞ。」
俺は少し緊張しつつも、意を決して話を続ける。「実は、どうしても理解できないことがあって。どうしてこの世界はこんなに不思議なんですか？」
先生は一瞬考え込むような表情を見せたが、すぐに落ち着いた声で答えた。
「それは、正彦くんが今まで見てきたものとは違うからかもしれませんね。でも、その不思議さが、この世界を特別にしているのです。」
俺はその言葉に少し驚いたが、同時に深い納得感が湧き上がってきた。
「特別な世界、か……」
先生は優しくうなずき、続けた。
「この世界には、まだ正彦くんが知らないことがたくさんあります。それを探してみることも、また一つの楽しみかもしれませんね。」
「特別な世界とはなんだろう？」
と俺は考えた。いろいろなことが頭をよぎったが、ひとつの答えが浮かんだ。
「先生、もしかして特別な世界って、僕たちがどう見るか、どう感じるかで変わるものなんじゃないですか？」
俺は少し不安ながらも、その考えを先生に伝えてみた。
先生は驚いたように目を大きく開き、それから穏やかな笑みを浮かべた。
「正彦くん、それは素晴らしい考え方ですね。そうです、世界は私たち一人一人の視点や心のあり方で変わっていくのです。だからこそ、同じ場所にいても人によって見えるもの、感じるものは異なるのです。」
俺はその言葉を噛み締めながら、先生の言うことが少しずつ理解できるような気がした。
「つまり、僕がこの世界を特別だと感じるかどうかは、僕次第ってことですか？」
先生は静かにうなずいた。
「その通りです、正彦くん。世界は無限に広がる可能性を持っています。それをどう受け取るかは、あなた自身の心次第です。そして、その心が新しい世界を創り出す力を持っているのです。」
俺はその言葉に深く感銘を受け、もっと自分の心を大切にしようと決意した。この世界がどれだけ特別なものになるか、それはこれからの自分次第なのだと。
