騙されない女の子の話
「俺はお前の事が好きだ!」
「知ってる」
「知っ……!?」
何固まってるんだろこいつ。
散々絡んできて、何かにつけて勝負だ何だと言ってきて、しかも他の女子には声どころか目もくれないんだから、気付くなって方が無理でしょ。
「こ、これはエイプリル・フールを利用した罠で、お前が戸惑ったところで『今日はエイプリル・フール! 騙されたな! 勝ったぞ!』という手筈だったのだが……」
どんだけ動揺してんのよ。
罠にはめる相手に解説してどうすんの。
「で? どうすんの? 付き合うの?」
「つ、付き合う!? 俺とお前とが!?」
「そうよ。好きって事はそういう事でしょ?」
「あ、うん……。いや待て! お、お前の気持ちはどうなんだ!?」
ほんと馬鹿だねこいつ。
あれだけウザい絡みに毎回律儀に付き合ってるんだから、そろそろ気付けっての。
「ばーか」
「ばっ……!? ま、まさか騙したのか!?」
「馬鹿だから馬鹿って言ったのよ。あんたなんて騙す必要性すら感じないわ」
「ぐぬぬ……! お、覚えていろ! いつかぎゃふんと言わせてやるからな!」
「はいはいぎゃふんぎゃふん」
「今言うな!」
この馬鹿とロマンチックな雰囲気になるのは無理そうだなー。
まぁいっか。しばらくはこんな関係でも。