騙されやすい男の子の話
「俺、お前の事が好きなんだ! 付き合ってくれ!」
「えっ……!」
「あぁ! いつも色々世話焼いてくれたり手伝ってくれたりするお前が前から好きだった! 俺の彼女になってくれ!」
「っ……!」
おー、びっくりしてるびっくりしてる。
同い年なのにいつも姉貴風吹かせやがって。
エイプリル・フールは絶好のチャンス!
慌てたらウソだとバラしてからかって、真面目に断ったらマジにしたのかってからかえる!
これで俺に負けはない!
「ほん、とう……?」
「えっ」
「本当に、私の事、好き、なの……?」
「あ、いや、その……!」
え、ウソ! 何で泣いてんだ!?
そんなの予定にないぞ!?
こ、これは早くネタバラシした方がいいよな……!
「あ、あのさ、今日は四月一日だからさ、その、え、エイプリル・フールって事で……。いえーい……」
「……」
「ぃぇーぃ……」
「……」
ま、真顔になった! やばい!
「ご、ごめん! エイプリル・フールだから、ちょっとからかおうと思っただけなんだ! 本当にごめん!」
「……うそ、だったんだ……」
呆然とした声!
そんなにショックだったのか!?
じゃあこいつ俺の事……?
と、とにかく謝らないと!
「本当にごめん! 何でもするから許してくれ!」
「……そしたらさ」
「う、うん!」
「今日映画一緒に行ってくれる……?」
「わ、わかった!」
「観終わったらご飯を一緒に食べて……」
「うん! 俺がおごる!」
「その後ショッピングとかもしたいな……」
「あ、あまり高いものは……」
「……っぷ、あはははははっ!」
「!?」
何だ!? 急に笑い出したぞ!?
「なーんてね。うっそー」
ぺろっと舌を出したその顔は、いつも通り……。
良かった……、じゃなくて!
「お、お前今のウソ泣きかよー!」
「エイプリル・フールなんでしょ? だましていいのは、だまされる覚悟のある奴だけよ」
「ぐ……!」
ちくしょう! 悔しい!
「私をだますなんて百年早いのよ」
「くそー! 告白したところからバレてたのか!」
「……当たり前じゃない」
「何で!? 何が悪かったんだ!?」
「知りたい? じゃあ映画に連れてって」
「は? 何で……?」
「じゃなきゃ教えてあげなーい」
「わ、わかったよ!」
「支度してくるから、三十分後にここでねー」
「お、おう!」
な、何なんだ?
これじゃまるで本当にデート……。
いやいやいや! だまされるな俺!
何かまた企んでるに違いない。
逆にうまい事あいつからウソを見破ったポイントを聞き出して、今度こそリベンジだ!