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準備の日 1

「はぁぁぁぁー…」


 降り止まない雨。

 テントを貼らないと寝る場所もないので、草地に設営した。

 中でキャチボールくらいは出来る広さがあり、なんと焚き火が出来るという特別製のテントだ。これが無いと今は野営は難しい。

 設営が終わり、一つ大きなため息が出る。


「暗い顔するなよみのり。笑え笑え」


 目つきの悪い薄着の女性に励まされた。肩に掛からないくらいのブロンドヘアーにヘアピン、右耳にはピアスを付けた胸の大きな女性だ。

 僕の前にあぐらをかいて両手を後ろについて気だるそうにしている。


「別に暗い顔なんてしてない。勝手に心を読むな羽美」

「心が読めるんだからしょーがないだろ」


 開き直った。大雑把で細かいことは気にしない性格だが、心配してくれているのだろう。その性格で、心が読める繊細な能力を持っているなんて誰も思わないだろう。


「みのりん元気だして!皆で旅するのも楽しいでしょ!楽しくない?」


 後ろから勢いよく抱きついてきた銀髪の女の子。クッションの少ない胸が頭部にぶつかり少しの痛みを感じる。ショートスタイルの髪にレイヤーが入っているカットで見た目から活発なのがわかりやすい。


「たの…しい。でも…重いよ竜胆りんどう


 勢いよくぶつかって来て、腹の下敷きにされながら返事を返す。

 別に言わされたとかでは無い。

 三人で旅をするのはとても楽しい。


「よく食べて寝る子は重いのです!」


 よく食べよく寝るが、それ以上に動き回るから肉が少い。


「竜胆はえらいね。今日もご飯たくさんたべたね」

「そう、竜胆はえらいのです。だから、元気だしてみのりん。もう次の街は見えてるんだから」

「そうだね…。マスターを見つけるまで頑張らないとね。落ち込んでても何も始まらないよね」


 何気ない普段通りの会話。いつも僕は羽美と竜胆に元気を貰ってばかりだ。

 二人と話していると、『太陽の見えなくなったこの世界』でも気合いを入れることが出来る。


「いつまでくっついてんだお前ら。寝るぞ」

「みのりん一緒に寝よ?」

「何言ってんだ!俺と寝るよな穂!」

「じゃ、うーちゃんも一緒に寝よ?」

「お前は入ってくるなリン!お前は寝相が悪いんだよ」

「うーちゃんの方が悪いと思うけど、でも三人でも寝たいな」


僕の存在は置いてけぼりで何やら、寝る場所が決められようとしている。


「あの…僕は一人で寝るよ」

「一緒に寝るの!」

「一人で寝るな!」

 ……

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