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盲目の少女とけもの

俺は医者をしているのだが、忘れられない患者がいる。


俺がまだ研修医だったころ、そこの偉い先生の問診に連れてってもらったことがあった。


その時の患者の話。その患者は15歳の女の子で、目が見えない子だった。


3年前に突然視力が消失。低下などの経緯なく突然の全盲に両親はひどく困惑していたそうだ。


後で聞いたがその先生は、俺に原因不明の重症患者の例を見せたかったそうだ。


問診中先生と患者、その保護者のやり取りをメモしていたんだが、女の子の口数が非常に少なかったのを覚えている。


その問診の数日後、タバコを吸おうと病院内を歩いていたときにその女の子と会った。


休憩室に一人でいたのを見て、なんとなく話しかけた。


そしたら以外に話好きだったのか、結構話をしてくれた。将来の夢、今までで楽しかったこと、親への感謝、友達との思い出。


あまりにも何でも話してくれるものなので、興味本位でこんなことを聞いてみた。


「君が最後に見た景色はなんだったの?」


聞いた後にやってしまったと思った。後天的な視覚障害者、しかもまだ小さい子。目が見えないことがコンプレックスの可能性もあったのに。


しかし、女の子はあっけらかんと答えた。


「ヒサカキだよ。」


最初膝掻きかと思って何度も確認したから間違いないと思う。ヒサカキ。


それは何なのかと聞いても、女の子はうまく説明できなかった。


毛のある動物であることは分かったのだが、どうにも要領を得ない。


女の子の通っていた小学校では知られた存在らしいのだが、その誰も見たこともなく、説明もできないらしい。


そして、それを見たことは誰にも言ってはいけないとも言っていた。


どうして俺にそれを話してくれたのかを聞いたら、女の子はこう答えた。


「今年に入ってからヒサカキがよく夢に出てくるの。それだけならよかったんだけど、最近はそこらへんを歩いてるのが見えて。多分私そろそろ死ぬの。」


それを言った時の女の子の表情があまりにも冷たくて、怖くなって話を切り上げて喫煙所に行った。


その数日後、女の子は本当に死んでしまった。


これだけだったら正直たまにいる死期を悟った患者なんだが、先日医大時代の友達と飲んだときに急展開があった。


その友達は地方の病院に勤めているんだが、そこでも同様の患者が最近出たらしい。盲目の、最期に見えるはずのない目でヒサユリ(友人の地方ではそういう呼び名らしい)を捉えていた患者が。


気味が悪くなってその日はその話をしなかったんだが、帰った後に調べると、ネットに同様の話がかなり転がっていることが分かった。


ヒサカキ(ヒサユリ?)とは一体何なんだ。

この話はネット怪談界隈で大人気のヒサルキの話です。

ヒサルキの関連話はマジでごまんとあります。調べだすと終わりないレベルです。

この話の怖いところは、ネットで無関係の多くの人間が、同様の話を書きこむことです。一部の地方に話は集中しているそうですが、見た目、目的、逸話が不明確な点が共通しております。

また、ヒサルキを見ると視力が失われる、または高熱を出したり命を落とすといった話も共通しています。

詳しくはヒサルキで調べてください。一個一個の話は怖くないのに、似た話がゴロゴロ出てくるのは割と気味が悪いものです。

このように同一の化け物、話が広まっていくところは口裂け女や人面犬をほうふつとさせられますが、それらとの明確な違いはエリアが一地方に絞られていることです。

これにより、その地域には本当にいるんじゃないかっていう夢を見させてもらえますし、同時に怖いという感情が芽生えます。

ネットが普及したことによって生まれた怪談の一つとも言えますが、写真などが出てこない限り信ぴょう性は上がらないので、ネットの怪物どまりになるのでしょう。寂しいですね。

最後まで読んでくれてありがとう。感想、アドバイス、こんな話も知ってるよとか募集してます。

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